2019-20シーズンにプレミアリーグで首位を独走するリヴァプールでは、守護神を務めるGKアリソン・ベッカーが圧倒的な存在感を放っている。ブラジル代表でも正守護神を任されているアリソンの牙城は高く、リヴァプールで彼からポジションを奪える者はいないだろう。
2番手のポジションを任された者にとっては過酷だ。世界最高級のGKと一緒に仕事はできるが、ほとんど自身にプレイタイムが与えられることはない。相当なストレスを感じるはずで、昨季アリソンの控えに回ったGKシモン・ミニョレは出場機会を求めて昨夏クラブ・ブルッヘに移籍した。
だが、今季のリヴァプールは意外にも控えGKの出番が増えている。アリソンが開幕直後に負傷した影響で新加入GKアドリアンは今季ここまで公式戦18試合に出場。チームの無敗継続の流れを作った。時折ミスはするものの、頼れる存在であったことは間違いない。ミニョレが残留していれば、アドリアンのようにもっとリヴァプールで注目される存在となることができたか。
しかし、ミニョレは移籍の判断を今も後悔していない。どれだけ控えGKが活躍しようとも、リヴァプールのファーストチョイスがアリソンであるという事実は変えようがないと、同選手は次のように語っている。英『Daily Mail』が伝えた。
「ベルギーに移籍した直後、ホテルでいろいろ整理していた時だった。引っ越しの片付けをしていたら、突然僕の電話に20〜30件のメッセージが届いていたんだよ。最初は何が起こったかわからなかったね。でも、メッセージを見てアリが不運にも怪我をしたということを知ったんだ。彼はコパ・アメリカにも参加していたから、そのリスクはあると思っていたけどね」
「アドリアンはその代役として10〜15試合ほどゴールマウスを守った。だけど、アリが復帰すれば彼のためにポジションを譲らなければならない。たとえその15試合で15回のクリーンシートを達成してもベンチに戻ることになるんだ。32歳の僕にとって、これは望まないことだった。シナリオとしては上出来なものだったけど、後悔はしていないよ。今の僕があの時に戻っても、同じ決断をするだろうね」
どうやってもリヴァプールでアリソンから正守護神を奪うのは不可能と語ったミニョレ。口では「正守護神を奪う」と言っても、その立場が入れ替わる可能性はほぼゼロ。そんな境遇に彼は耐えられなかったようだ。年齢がベテランの域に差し掛かっていることも影響したという。
昨季までリヴァプールでプレイしていた2番手GKの苦悩。チームで最も過酷な役割を任されているのは、彼らかもしれない。
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