解任から6年…… モイーズ・ユナイテッドとはなんだったのか

13-14シーズンにユナイテッドの監督を務めたデイビッド・モイーズ photo/Getty Images

今なお非難されるモイーズ政権

ちょうど6年前の2014年4月22日、マンチェスター・ユナイテッドの指揮官を務めていたデイビッド・モイーズが解任された。ユナイテッドの象徴でもあったサー・アレックス・ファーガソン氏の勇退に伴って後継者に指名され、指揮官に就任したモイーズだったが、順位は低迷。クラブ内外からの批判を受け続け、結局1年を待たずしてモイーズはクラブを去ることとなる。

だが、モイーズの監督としての評価は、当初は非常に高いものだった。サー・ボビー・チャールトン氏はモイーズの就任にあたり「私たちは長期的にコミットし、将来だけでなく今もチームを構築できる人物を確保した。安定性は、成功を生み出すことができる」とコメント。信頼の高さがうかがい知れる。

さらに、モイーズの就任が発表された2013年5月9日の『Bleacher Report』の記事に面白いものがある。ゲーム『Football Manager 2013』を使って、モイーズ・ユナイテッドの1年間をシミュレートするというものだ。結果、モイーズは最初のシーズンで2つのトロフィーを獲得したという。

モイーズは当初、期待を持って迎えられていたのだ。実際、開幕節ではスウォンジーを4-1と撃破。CLグループステージも首位通過を決めている。だが、マンチェスター・ダービーの1-4の敗戦に続き、格下ウェストブロムにも敗戦するなどリーグ戦の成績は一向に上向かず、求心力は低下していく。第25節のフラム戦で、81本のクロスを放ちながらまったくゴールに結びつかなかったことは、もはやサッカー界の“定番お笑いネタ”になってしまった感すらある。今ではモイーズ・ユナイテッドといえば、典型的な監督交代の失敗例として認知されてしまっている。

ファーディナンドとモイーズの間にはわだかまりがあったとされる photo/Getty Images

数字の上では“最悪”ではないが……

実は数字の上では、モイーズ・ユナイテッドの戦績は“最悪”ではない。例えば今季のオーレ・グンナー・スールシャールのチームと比べてみると、モイーズのチームが残した数字の方が上であることがわかる。ユナイテッドの今季のこれまでの獲得勝ち点は45。1ゲームあたり1.55ポイントとなる。モイーズが指揮をとった13-14シーズンの34試合では、1ゲームあたり1.68ポイント。さらに得点を見ると、今季は1ゲームあたり1.5ゴール、通算で44得点。モイーズのチームは34試合で56得点し、その平均は1.65ゴールとなる。また、ジョゼ・モウリーニョが指揮をとった18-19シーズンには、開幕からの7試合の戦績がプレミア設立後ワーストであることも話題となった。

それでも、解任記念日(?)には英紙の多くがモイーズを揶揄する記事を出すほどに、彼の印象は悪い。原因の一つは、数々のワースト記録を打ち立ててしまったことにもあるだろう。先述のウェストブロム戦は、1978年以来のホームでの敗戦。ホームでの敗戦記録はその後も更新され、エヴァートンに1992年以来の、ニューカッスルにも1972年以来の敗戦を喫する。2014年2月には、1984年以来負けていなかったストークに、プレミア創立以来の勝利をプレゼント。FAカップでは3回戦で敗退し、これは1984年以来。また、CLではオリンピアコスに敗戦し、ギリシャのクラブがユナイテッドに勝った初めての例を作った。

チームマネジメントにも穴があった。リオ・ファーディナンド、ライアン・ギグスといったベテランを重用せず、古巣エヴァートンから連れてきたマルアン・フェライニや、若手のアドナン・ヤヌザイの起用にこだわった。戦術はクロス一辺倒であり、ファーディナンドは自身の自伝の中で「アマチュアのようで、恥ずかしかった」と非難している。

「植え付けようとしたチーム構想がなんだったのか、最後まであやふやだった。ファーギーは積極的だったけど、モイーズは無意識に消極的な雰囲気を作っていたと思う。次第に選手たちの信頼を失っていったし、僕自身も彼のもとではプレイを楽しめなかったんだ」

結局のところ成績以上に、ファーガソン氏の作り上げたユナイテッド像をすっかり壊してしまったことが、モイーズ非難の一番の原因ではないかと思われる。負けるはずのないクラブに負け、魅力的な攻撃サッカーは嘘のようにどこかへ行ってしまった。モウリーニョやスールシャールが、モイーズ以下の成績しか挙げられなかったとしても、すべての原因を作ったのはモイーズだったというわけだ。ユナイテッドファンが抱いた恨みと失望は、6年くらいの歳月では解消されないということなのかもしれない。

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