南野拓実が持つCL“アタッカー”No.1の数字 ザルツブルクのカギ握る男の能力

ザルツブルクの南野 photo/Getty Images

海外移籍で伸びた力

チャンピオンズリーグ・グループステージ2試合を消化した段階で、バイエルンに次いで2番目に多い9得点を記録しているのがオーストリアのザルツブルクだ。ザルツブルクといえば南野拓実、奥川雅也の日本人アタッカー2人が所属していることでも有名なチームだが、ザルツブルクはなぜこれほどまでに強いのか。

彼らを支えているのは、強力な個性を持つアタッカー陣だ。複数の強豪クラブが目をつけている19歳の大型FWアーリング・ブラウト・ハーランド、スピードとサイズに似合わぬパワーを併せ持つ韓国代表FWファン・ヒチャン、高いテクニックを誇る18歳のMFドミニク・ショボスライ、そして日本代表の南野が引っ張る攻撃は迫力抜群だ。

ザルツブルクはボールを奪ったら素早く前線へ展開するスタイルをベースとしており、後方からじっくりと繋いでいくタイプのチームではない。グループステージ第1節ではベルギーのヘンク相手に6-2の大勝を飾っているが、あの試合もポゼッション率は46%だった。縦へ速いシンプルな攻めではあるものの、ハーランドや南野ら前線の選手はコンビネーションも良い。個人で局面を打開する力も持っており、スピードアップさせると非常に厄介だ。なるべく高い位置でボールを奪い、前線の4人が前を向いて速攻を仕掛けるシーンを増やすことがザルツブルクの目的の1つとなる。

そのシナリオを機能させるうえで非常に重要な役割を担うのが南野だ。南野はヘンク戦で2アシスト、リヴァプール戦で1得点1アシストと大暴れだが、見るべきは攻撃部分だけではない。南野は守備でもサボることなくプレスをかけ続けており、一方のコースを切りながら相手に寄せていく守備も確実に上達している。ヘンク戦でも相手のサイドバックへのパスコースを切りつつ、センターバックにプレスをかけてボールを奪ったところからチャンスを演出する場面もあった。前線からのプレスで相手のパスコースを限定していく作業で南野は重要な役割を果たしているのだ。

何より見事なのは運動量だ。南野はここまでチャンピオンズリーグで2試合連続フル出場を記録しており、ここまでの総走行距離は23.935kmを記録している。これは現段階で大会5番目に多い数字となっているのだが、走行距離ランク1位はスラヴィア・プラハMFトマーシュ・ソーチェク、2位ドルトムントMFトーマス・デラネイ、3位シャフタール・ドネツクMFタラス・ステパネンコ、4位リヨンMFルーカス・トゥザールと続いている。この4人はいずれも守備的MFの選手となっているため、アタッカーの中では南野が大会で最も走っている選手ということになる。この運動量もザルツブルクに欠かせぬ大きな武器なのだ。

南野がザルツブルクに加わったのは2015年1月のことで、そろそろ5年の時が経とうとしている。ザルツブルクは欧州五大リーグのクラブではないものの、南野はザルツブルクで大きな成長を遂げている。特に守備意識は明らかに高くなっており、ザルツブルクで口酸っぱく指導されてきた賜物と言えよう。日本代表でも前線から相手を追いかけ回す姿が印象的で、南野には後方のチームメイトを助ける効果的な守備とそれを継続する運動量が備わっている。得点力だけでなく、守備面でも南野は森保ジャパンに大きく貢献しているのだ。

走る姿勢はザルツブルク全体でも徹底されており、ヘンク戦では相手の走行距離107kmに対して114.9kmも走っている。リヴァプール戦では序盤にややプレスが噛み合わず走らされる展開となったが、最終的には119kmも走っている。リヴァプールは112.6kmに留まっているため、相手より多く走ることがザルツブルクが勝利する1つの条件だ。

これを継続するのは簡単ではないが、ザルツブルクの場合は国内リーグの環境が独特だ。力関係がはっきりしており、今季もここまで9勝1分と負けがない。10試合で46得点9失点と圧倒的な強さを見せており、チャンピオンズリーグのためにリーグ戦で主力を温存させることが可能なのだ。実際にリヴァプール戦前のオーストリア・ウィーン戦では南野も休養が与えられており、ここで体力を温存できたことがリヴァプール戦のハイパフォーマンスに繋がった。

グループステージは2試合を終えた段階で1勝1敗の勝ち点3。ナポリ、リヴァプールと同居する難しいグループではあるものの、立ち上がりは悪くない。リヴァプール戦で4失点と守備が崩壊したように、前線からの守備を剥がされた場合は窮地に陥りやすい弱点も抱えている。今後もチャンピオンズリーグの舞台で失点は続くだろうが、それを跳ね返すだけの攻撃力は確実に持っている。攻撃さえハマればグループ通過も夢ではないが、ザルツブルク、そして南野は今大会の台風の目となれるのか。次はホームでのナポリ戦だ。

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