イグアインを苦しめた”3つ”のファイナル 名手を襲った悪夢のシュートミス

アルゼンチン代表で涙を呑んできたイグアイン photo/Getty Images

代表での得点数は見事だったが……

先日、チェルシーに所属するFWゴンサロ・イグアインがアルゼンチン代表からの引退を表明した。2009年に代表デビューを果たしてから長くチームを支えてきたストライカーで、数字だけを見ればイグアインは代表の歴史に名を残す名選手だ。しかし、代表でのイグアインへの印象は悪い。

イグアインを苦しめたのは、3つの決勝戦だ。2014ブラジルワールドカップ決勝のドイツ代表戦、その翌年に行われたコパ・アメリカ2015決勝のチリ代表戦、同じカードとなった2016年のコパ・アメリカ・センテナリオ決勝のチリ代表戦。この3試合がイグアインの評価を大きく変えることになってしまった。

まずブラジルワールドカップ決勝のドイツ戦では、ドイツの選手が出したバックパスをゴール前に残っていたイグアインが拾い、GKマヌエル・ノイアーと1対1を迎えた。誰もがアルゼンチンの先制点を期待したが、イグアインは力が入りすぎたのか枠にシュートを飛ばすことができなかった。結果だけを見れば、あのゴールが決まっていればアルゼンチンが優勝していたかもしれない。
2015年のコパ・アメリカ決勝・チリ戦では、後半にエセキエル・ラベッシが左サイドから絶好のグラウンダーのクロスをイグアインへ送った場面があった。角度はやや厳しかったが、イグアインなら決められたはずだ。しかしこれはサイドネットに阻まれてしまい、PK戦へ。そのPK戦でもイグアインは失敗してしまい、何とも苦いファイナルになってしまった。

2016年の再びのチリ戦では、前半に相手DFがバックパスをトラップミスする珍事が起こる。これをイグアインが拾い、ドイツ戦を思わせる相手GKとの1対1が実現したのだ。今度のイグアインは焦らずGKの動きを見ていたのだが、フワリと浮かしたシュートはポストの左へ外れてしまった。イグアインの能力ならば決められるはずなのだが、ファイナルではなぜかイグアインに当たりが出なかった。

英『Squawka』もこの3つのシーンがイグアインの代表キャリアを苦しめるものとなったと取り上げているが、イグアインはアルゼンチン代表で通算31得点を挙げている。これはアルゼンチン代表では6番目に多い数字で、あのディエゴ・マラドーナが挙げた34得点とも大差ない。本来は絶賛されるべきストライカーなのだ。

イグアイン本人にも後悔は残っているだろう。結果論だが、この3つを決めていれば代表で3つのビッグタイトルを獲得していたかもしれない。イグアイン1人の責任ではないが、このファイナル3試合は悪夢と言えるものになってしまった。

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