クリスタル・パレスのサポーターが、UEFAによるヨーロッパリーグ出場資格剥奪に対し、スイスのUEFA本部に“偽札入りのスーツケース”を持ち込むという前代未聞の抗議活動を行った。『Daily Mail』が伝えている。
パレスは2024-25シーズンのFAカップを制し、正当にヨーロッパリーグ出場権を獲得した。しかし、UEFAが掲げるマルチクラブオーナーシップ規定に抵触したとして、ヨーロッパカンファレンスリーグへの“降格”処分が下されたのである。
UEFAは、米国人実業家ジョン・テクスター氏がパレスとフランスのリヨン双方に出資していることを問題視。両クラブが同一大会に出場することを禁じた。これに対し、クラブ側はテクスター氏が決定的影響力を持っていないと主張し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)へ上訴。判決は8月11日に下される予定である。
だが、ファンの怒りは収まらない。パレスの熱狂的サポーターグループ「ホルムスデール・ファナティクス」は、UEFAの本部前に偽札の詰まったスーツケースを持参し、「金銭の論理に支配された統治機関」を痛烈に皮肉。アレクサンデル・チェフェリン会長宛の書簡も直接手渡し、「道徳的正義に反する決定の撤回と、ヨーロッパリーグへの復帰」を求めた。
その後、一行はローザンヌのCAS本部へ移動。バナーを掲げ「道義的破綻」「我々が得た正当な権利を返せ」と叫んだ。
抗議声明では「UEFAの『公正』や『誠実』といった建前と、実際のビジネス的手法の矛盾を象徴する」とし、今後も抗議活動を継続する意志を示している。
同紙によれば、パレスはUEFAとノッティンガム・フォレストの間に交わされたメールやメッセージの全面開示を求める構えだという。フォレストはUEFAに対し、パレスが出場資格を失うことへの“期待”を文書で伝えていたとも報じられている。
パレス側は、規定遵守の締切である3月1日に関する明確な通知が届かなかったと主張。UEFAからの案内は汎用アドレス宛で、締切直前のリマインダーもなかったという。また、パレスはECA(欧州クラブ協会)に未加盟であり、ECAからの追加情報も受け取っていなかった。一方で、フォレストと同じオーナーを持つオリンピアコスはECA加盟クラブであり、情報格差が存在していた可能性もある。
果たしてCASは、このサポーターたちの叫びにどのような裁定を下すのか。判決は8月11日に予定されている。