10−0のスコアが生まれたバイエルンとオークランド・シティの一戦 開き過ぎた実力の差、今後は大会の方式を変えるべきなのか 

ドイツ王者が格の違いを見せつけた photo/Getty images

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世界大会である以上、ある程度のレベルは保つべきとの声も

16日にアメリカ・シンシナティで行われたFIFAクラブワールドカップ2025・グループCの初戦、バイエルンとオークランド・シティの試合は10−0でバイエルンが大勝を収めた。この試合の結果から、今後の大会の方針を見直す必要があるのではないかという意見が挙がっている。

試合は終始ドイツ王者のペースで進んでいき、6分のFWキングスレイ・コマンのゴールを皮切りに得点が次々に生まれ、前半だけで6得点。後半もMFジャマル・ムシアラのハットトリックもあって4点を追加し、終わってみればスコアは2桁に到達していた。この10−0というスコアはクラブワールドカップ史上最多の得点差記録となり、両チームの実力の差が明確となった一戦となった。

あまりにも差があり過ぎたこの一戦を経て、世間からは今後の大会の方針を改めて見直す必要があるのではないかという意見も見受けられた。そもそも今回出場したニュージーランドのオークランド・シティは、プロチームではなくアマチュアで構成されたチーム。GKのコナー・トレイシーは普段、獣医用医薬品の会社倉庫で勤務しており、他にもフォークリフトの運転手や、ソーダ販売員、不動産業者などの選手が在籍する。もちろん勝負の世界であるので100%確実にバイエルンの勝利が確約されていたわけではないが、このような結果になるのは薄々想定できたことだろう。オークランド・シティはオセアニア王者としてこれまでのクラブワールドカップに出場していたが、ほとんどが初戦敗退という結果に終わり、他のオセアニア王者として出場したチームも同様の結果に終わっていた。今後のオセアニア代表のチームは、プレイオフを挟んでの出場が相応しいのではないかといった意見もあった。
『The Athletic』はそういった意見が散見される中、「記録的な敗戦を喫したオークランド・シティは、拡大されたクラブワールドカップに今後参加すべきだろうか?」という見出しを打ち見解を示した。同メディアはこういったクラブチームが出場することに肯定的な意見を述べており、そもそもこの大会に出場することで約350万ドル(オセアニアの場合)が保証されることから、この額から自国の学校に全天候型の競技場を建設するための費用に充てられるとのことでメリットの面は多いと指摘。そもそも史上最悪の敗戦チームとして歴史に名を残すことは、歴史に名を残さないよりはましだという見解を示しており、あくまでもこの大会に参加することに意義があると述べていた。

一方で、FIFAが新たに拡大したこの大会のブランディングがこのような著しいミスマッチをもたらし、それに応えることが不可能なのにその期待を生み出そうとしていることを問題視している。バイエルンとオークランド・シティには明らかな差が見られることから、4チームによる不均衡なグループリーグではなく、今季のチャンピオンズリーグのリーグフェーズのような異なるレベルのチームをよりうまく融合させるフォーマットで行えば、自分たちのレベルに近いチームと数試合対戦できて、有意義な試合になっただろうと述べている。しかしこの場合、試合数が増えることから良い案とはならず現状完璧な代替案はないという結論に至っている。結局のところ、このレギュレーションが現状最適とされており、良くも悪くも大会を盛り上げるには良いのではないかと論じている。

この試合は得点に注目が行きがちだが、試合を通してトラップやパスの精度などを見ても明らかに違いがあった試合だった。「クラブワールドカップ」という名前である以上、世界一を決める大会であるのならある程度のレベルは必要とする意見もある。今回のこの試合の結果は、今後に大きな影響を与えることとなっただろう。

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