[W杯マッチ16]リシャルリソンのバイシクルから大会No.1級のスーパーゴールが炸裂! 優勝候補ブラジルがセルビアを圧倒

ブラジルに追加点をもたらしたリシャルリソンのバイシクルシュート photo/Getty Images

多数のチャンスを作り出すブラジルとそれに抗ったセルビア

MATCH 16 グループG 第1節 
2022年11月24日 22:00キックオフ(ルシル・スタジアム)
ブラジル 2-0 セルビア

グループGでは一足先にスイスがカメルーンから勝利をあげ、ブラジルとセルビアはスイスの背中を追う形でこの一戦に臨んだ。ネイマール擁するブラジルは、言うまでもなくタレント揃いのチームであり、当然2002年以来のW杯制覇を目指さなければならない。グループステージは全勝での突破が期待される。

一方、ピクシーことストイコビッチ監督が率いるセルビアも多くの才能を抱えるチームだが、今回の一戦ではヴラホビッチやコスティッチといった攻撃のキーマンがベンチスタートとなった。ブラジルと同組である以上、セルビアはグループ2位通過を狙うべきで、今回は勝ち点1を得ることができれば御の字だ。
両チームともに序盤からハイテンションでゲームに臨み、目まぐるしく展開は変わった。しかし、そこからチャンスを作り出せるのはやはりブラジルだった。4分にハフィーニャが右サイドからの仕掛けを見せると、10分のシーンではカゼミロの縦パスからネイマールがエリア内を切り裂く。13分にはヴィニシウスが驚異的なスピードで左サイドをえぐったが、いずれもセルビアDF陣が無事にやり過ごした。

対するセルビアは、それなりにボールを保持する時間も多かったが、どちらかと言うとブラジルに持たされていた。ビルドアップからはなかなか前に進むことができず、時折見せるカウンターの方がブラジルを慌てさせた。25分には、セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチのパスからタディッチが右サイドを突破し、長身FWアレクサンダル・ミトロビッチ目掛けてクロスを送っている。これはアリソンにキャッチされたが、迫力のあるカウンターアタックだった。

そこから徐々にブラジルが主導権を握り始めると、両サイドを起点にセルビアゴールを脅かす。最大のチャンスは41分のシーンで、ロングフィードに抜け出したヴィニシウスがキーパーと1対1のチャンスを迎えている。ところが、ここは後ろから追いかけたミレンコビッチがギリギリで足を出して自由には打たせず、シュートは枠の左へと逸れた。

前半のセルビアはシュート1本に終わってしまったが、粘りの守備でブラジルの攻撃を跳ね返し続けたことは十分評価できる。対照的に多くのチャンスを作り出したブラジルは、決めきれなかったことが後半に向けた唯一の不安材料となった。

ミトロビッチはほとんど仕事をさせてもらえなかった photo/Getty Images

後半はブラジルが圧倒

ギアをもう一段階上げて後半に臨んだブラジルは、セルビアの立ち上がりの緩さをつく。後半開始直後の46分、高い位置で相手DFからボールを奪ったハフィーニャがそのままシュートまで持ち込んだが、これはバニャ・ミリンコビッチ・サビッチのファインセーブに阻まれた。

ようやくブラジルがゴールをこじ開けたのは62分。中央でボールを持ったネイマールがドリブルで仕掛けると、左サイドで構えていたヴィニシウスがダイレクトでシュート。これはキーパーに弾かれたが、リシャルリソンがこぼれ球を押し込み、念願の先制点を得た。

攻勢に出るしかなくなったセルビアは、66分にエース・ヴラホビッチを投入し、少し勢いを取り戻す。69分には途中出場のネマニャ・ラドニッチが前線中央で待ち構えるヴラホビッチ、ミトロビッチ目掛けて左サイドからクロスを送り、70分には右CKからゴールをねじ込もうとしたが、いずれもブラジルに跳ね返された。

その後の72分、この試合のハイライトがやってくる。左サイドから仕掛けたヴィニシウスが中央のリシャルリソンへパスを送ると、トラップでボールを真上に浮かせたリシャルリソンがバイシクルでシュートを放つ。今大会No.1級のスーパーゴールを叩き込み、ブラジルがリードを2点に広げた。

ある程度試合の行方が決まったこともあり、チッチ監督はベンチに控えていたタレントたちを続々と投入。フレッジ、ロドリゴ、ジェズス、アントニー、マルティネッリをピッチに送り出し、最後までセルビアを攻め立てる。クロスバーなどにも救われ、セルビアはこれ以上失点することはなかったが、圧倒的な力の差を見せつけられてしまった。

24本のシュートを放ちながら2ゴールのみという部分にやや懸念もあるが、やはり優勝候補と呼ばれるだけの強さがブラジルにはある。残りの2戦も順当にいけば勝利できるだろう。セルビアは精神的なダメージが大きいかもしれないが、割り切って次の試合に臨むことができるか。今回見せた粘りの守備に加え、本来持ち合わせるはずの攻撃力が戻れば、スイスやカメルーンを倒すことも可能なはずだ。

ヴィニシウスを始めとするアタッカー陣の仕掛けがボディーブローのように効いた photo/Getty Images

[スコア]
ブラジル 2-0 セルビア
 
[得点者]
ブラジル
62分 リシャルリソン
73分 リシャルリソン
 
[ポゼッション]
ブラジル 47% セルビア 33% 中立20%
 
[シュート数]
ブラジル 24 セルビア 4
 
[枠内シュート]
ブラジル 10 セルビア 0
 
[イエローカード]
ブラジル 0枚
 

セルビア 3枚
ストラヒニャ・パブロビッチ
ネマニャ・グデリ
サシャ・ルキッチ
 
[レッドカード]
なし

[ラインナップ]
ブラジル
フォーメーション:[4-3-3]

監督:チッチ

GK
アリソン・ベッカー(リヴァプール/イングランド)

DF
ダニーロ(ユヴェントス/イタリア)
チアゴ・シウバ(チェルシー/イングランド)
マルキーニョス(パリ・サンジェルマン/フランス)
アレックス・サンドロ(ユヴェントス/イタリア)

MF
カゼミロ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ルーカス・パケタ(ウェストハム・ユナイテッド/イングランド)
ネイマール(パリ・サンジェルマン/フランス)

FW
リシャルリソン(トッテナム/イングランド)
ハフィーニャ(バルセロナ/スペイン)
ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード/スペイン)

交代出場
75分 ルーカス・パケタ→フレッジ(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
75分 ヴィニシウス・ジュニオール→ロドリゴ(レアル・マドリード/スペイン)
79分 リシャルリソン→ガブリエウ・ジェズス(アーセナル/イングランド)
79分 ネイマール→アントニー(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
87分 ハフィーニャ→ガブリエウ・マルティネッリ(アーセナル/イングランド)

セルビア
フォーメーション:[3-4-3]

監督:ドラガン・ストイコビッチ

GK
バニャ・ミリンコビッチ・サビッチ(トリノ/イタリア)

DF
ストラヒニャ・パブロビッチ(ザルツブルク/オーストリア)
ニコラ・ミレンコビッチ(フィオレンティーナ/イタリア)
ミロシュ・ベリコビッチ(ブレーメン/ドイツ)

MF
ネマニャ・グデリ(セビージャ/スペイン)
アンドリヤ・ジブコビッチ(PAOK/ギリシャ)
サシャ・ルキッチ(トリノ/イタリア)
フィリップ・ムラデノビッチ(レギア・ワルシャワ/ポーランド)

FW
アレクサンダル・ミトロビッチ(フラム/イングランド)
ドゥシャン・タディッチ(アヤックス/オランダ)
セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチ(ラツィオ/イタリア)

交代出場
57分 ネマニャ・グデリ→イバン・イリッチ(ヴェローナ/イタリア)
57分 アンドリヤ・ジブコビッチ→ネマニャ・ラドニッチ(トリノ/イタリア)
66分 サシャ・ルキッチ→ダルコ・ラゾビッチ(ヴェローナ/イタリア)
66分 フィリップ・ムラデノビッチ→ドゥシャン・ヴラホビッチ(ユヴェントス/イタリア)
83分 アレクサンダル・ミトロビッチ→ネマニャ・マクシモビッチ(ヘタフェ/スペイン)

記事一覧(新着順)

電子マガジン「ザ・ワールド」No.292 最強ボランチは誰だ

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:コラム

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ