シュートブロック数は《1位&3位》 ビジャレアル、レアル、アトレティコらスペイン勢が粘り強すぎる

バイエルンまで破ってしまったビジャレアル photo/Getty Images

守備的との意見もあるが、スペイン勢は渋い勝ち上がり

今季もチャンピオンズリーグ・ベスト4が出揃った。内訳はイングランドからリヴァプール、マンチェスター・シティ、スペインからビジャレアル、レアル・マドリードの4チームとなり、何と言ってもビジャレアルがサプライズだ。ベスト16でユヴェントス、ベスト8では優勝候補の一角にも挙げられるバイエルンをも撃破。ビジャレアルのベスト4入りを予想していた人は少なかっただろう。

スペイン勢ではアトレティコ・マドリードもベスト8でマンチェスター・シティ相手に2戦合計0-1と善戦はした。その戦い方に批判的な意見もあるが、マンCを苦しめたのは間違いない。

そのアトレティコを筆頭に、今季のスペイン勢は粘り強い守備が1つのテーマになっている。ベスト8に3チームを送り込んだものの、スペイン勢の戦いぶりは圧倒的というわけではない。どちらかといえば苦しいゲームが多く、それを何とか制してきたイメージだ。
レアルも決勝トーナメントに入ってからはパリ・サンジェルマン、チェルシーと激突してきたが、この4試合でレアルがポゼッション率で上回ったゲームは1つもない。パリとの1stレグも防戦一方で、しぶとくベスト4まで勝ち上がってきた印象だ。

ビジャレアルもバイエルン相手には2試合合わせても枠内シュートが2本しかなく、その2本を得点に結び付けて準決勝まで勝ち上がった。

ビジャレアルは今季のチャンピオンズリーグで1試合平均15.1本のシュートを相手に許しており、レアルも15本打たれている。これはワースト8位と9位の数字で、ベスト4まで上がってきたクラブにしては被シュート数が多い。

逆に被シュート数が最も少ないのはマンCで1試合平均6.7本、それに続くのは同じくベスト4に上がってきたリヴァプール(7.3本)、バイエルン(7.6本)、チェルシー(8.5本)の順になっており、この4チームは開幕前より優勝候補に挙げられていた。その評価通り、相手に攻撃の機会を与えない戦いは出来ていたように見える。

しかし、スペイン勢には不思議なほどの粘りがある。バイエルンとの2ndレグを戦ったビジャレアルは、36歳のベテランDFラウール・アルビオルが13回もクリアを記録。これは今季のチャンピオンズリーグ1試合の数字としては最多だという。さらに同じゲームでは33歳のベテラン守備的MFエティエン・カプエも10回のクリア、アルビオルの相棒を務めるスペイン代表DFパウ・トーレスも7回のクリアを記録するなど、とにかく必死に守った印象だ。

ビジャレアルはチーム全体でのシュートブロック数も38回で今大会最多タイ、レアルも36回で3番目の多さとなっている。シュートを打たれる機会は多いが、最後の最後に体を投げ出せている証拠とも言える。

準決勝のカードはリヴァプールVSビジャレアル、レアルVSマンCと綺麗にイングランド勢VSスペイン勢の構図となっており、ここまでの展開から考えれば優勝候補に挙げられてきたイングランド勢の2チームがボールを支配してゲームを進めるだろう。ビジャレアルとレアルは我慢のゲームとなる可能性が高いが、接戦を制してきたことで自信を深めているところはあるはず。そして両チームには一瞬の隙を突いて得点を奪う力もある。

ビジャレアルはバイエルン、レアルは昨季王者チェルシーと、開幕前に優勝候補と言われてきた2クラブを潰した。今季はスペイン勢が弱体化していると言われてきたが、ここまでの戦いは見事というしかないものだ(数字は『WhoScored』より)。

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