今から約2年前、2019-20シーズン後半戦にマンチェスター・ユナイテッドの緊急事態を救った男を覚えているだろうか。2020年冬の移籍市場で中国の上海申花からレンタルで加入し、同時にチームへ加わったポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスと共に攻撃陣を牽引したストライカー。元ナイジェリア代表FWオディオン・イガロだ。
負傷したFWマーカス・ラッシュフォードの穴を埋めるため、当時のマンUが緊急獲得したイガロ。加入当初の期待はあまり高いものではなかったが、結果的にこの点取り屋は赤い悪魔で素晴らしい働きを見せてくれた。2019-20シーズン後半戦はマンUで公式戦19試合に出場して5ゴールを記録。成績だけ見ればそこまでインパクトは大きくないかもしれないが、苦しい台所事情となっていた当時のマンUにとってイガロは非常に貴重な存在だったと言っていい。
その後はクラブがウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニを獲得したことで、徐々に出場機会が減少。加入からわずか1年でマンUを去ることとなったイガロだが、今でもチームの苦しい時期を支えてくれた彼を思い出すファンは少なくないはず。だが、この元ナイジェリア代表FWを過去の選手にしてしまうのはまだ早いかもしれない。実は同選手、32歳となった今季はサウジアラビアで大暴れしているのだ。
21-22シーズンはこれまでサウジ・プロフェッショナルリーグで21試合に出場し、リーグトップとなる15ゴールを挙げているイガロ。シーズン前半戦はマンU退団後すぐに向かったアル・シャバブ・リヤドで、そして後半戦からはアル・ヒラルに活躍の場を移して同選手はコンスタントに得点を稼いでいる。先月行われたクラブ・ワールドカップでは準決勝で欧州王者のチェルシーに敗れてしまったものの、2回戦では開催国王者のアル・ジャジーラ戦(◯6-1)でゴールを記録。新天地でもその勢いは止まらず、今なお非常の良いペースでゴールを積み上げ続けているのだ。
マンUを離れ、現在はサウジアラビアで圧倒的な存在感を放つ元ナイジェリア代表FW。欧州からは遠ざかることとなったが、イガロはアジアで元気な姿を見せている。