川崎フロンターレは18日、明治安田生命J1リーグ第29節で徳島ヴォルティスと対戦した。敵地での戦いに加えて、直近で2つのコンペティションで敗退を喫するというメンタル的にも難しい状況ではあった。しかし、王者の維持を見せて3-1の勝利を収め、リーグ戦では連覇へ向けて2連勝を飾っている。
そんな一戦でキーとなった選手が何名かいるが、忘れてはならないのがデビュー戦ながら2得点に絡んだ新戦力のFWマルシーニョだろう。8月中旬に川崎への移籍が発表され、今回の徳島戦で左ウイングとしてスタメンに抜擢された同選手。立ち上がりこそなかなかボールに絡めない時間帯が続いたが、徐々に自身の持ち味であるスピードやテクニックを活かしたドリブルなどで存在感を発揮していく。
すると34分、素早いリスタートから左サイドでボールを受けたマルシーニョがドリブルでカットインしていき、ペナルティエリア内へ侵入。細かいタッチで相手選手2人の間をぶち抜くと、相手もファウルで止めるしかなく、貴重なPKをゲットした。なお、このPKを知念慶が落ち着いて沈め、川崎は先制に成功している。
さらに1-1で迎えた42分には、旗手怜央の縦パスをペナルティアーク付近で受けたマルシーニョは、ダイレクトで丁寧に脇坂泰斗へ落とし、勝ち越しゴールをアシスト。デビュー戦ではあったが、川崎らしさあふれる華麗なパスワークにもしっかり絡んでみせた。
連携面がまだまだ発展途上のため、単独でのプレスやチェイシングが目立つこともあったが、この試合で守備面でも汗をかけることが見てとれた。今季はトランジションにも力を入れている川崎にとって、これも好材料。マルシーニョのデビュー戦での活躍は、主力選手の移籍や怪我人の続出で8月以降やや我慢どころが続いていた川崎の今後に、光を灯すものとなったはずだ。
徳島戦では主に足元でボールを受けてからのドリブルが目立ったマルシーニョだが、スピードが最も生かされるのはカウンターだ。インターセプトしたボールをそのままダイレクトで前線へつないで攻撃の1手目にできる、視野の広さとビルドアップ能力に長けたDF谷口彰悟あたりが戦線へ復帰してきたら、マルシーニョの良さがより発揮されるのではないか。
不安があるとするならば、この試合で62分に担架で運び出されて交代していたこと。ただ、マルシーニョの状況に関して、鬼木達監督が試合後の会見で「まだちょっと僕の方も確認できてはいませんが、そんなに問題ではないんじゃないかと思っています」とコメントしており、今後の戦いに大きく影響するようなものではなさそうだ。川崎にとって、この超新星が終盤戦のキーマンとなるかもしれない。