この1年で最も評価を上げた男!? ブッフォンも驚愕するほどの飛躍

EURO2020を制し、喜びをあらわにするキエーザ photo/Getty Images

「これほど良い選手だとは思わなかった」

昨夏よりユヴェントスでプレイするイタリア代表FWフェデリコ・キエーザ。この1年で最も評価を上げた選手と言っていいかもしれない。

イタリア代表でも活躍したエンリコ・キエーザを父に持つ現在23歳のキエーザは、フィオレンティーナの下部組織で育ち、2016年8月に18歳ながらトップチームデビュー。スピードに乗ったドリブルや縦への推進力を武器に、2016-17シーズンの後半戦には主力へ定着した。その後もメキメキと力をつけ、2019-20シーズンにはセリエA34試合に出場して10ゴール9アシストの大活躍を見せる。すると、この若き逸材に目をつけたユヴェントスが、昨夏の移籍市場でレンタル移籍によって獲得した。

キエーザはクラブでの活躍以外にもイタリア代表の各年代で活躍し、A代表でも10キャップ以上を記録していたが、ビッグコンペティションの経験や実績はほぼ皆無。もちろん、大きな期待を背負ってのユヴェントス加入ではあったが、この時点ではまだイタリアの王者へやってきた「将来を嘱望される若手選手」のひとりに過ぎなかったに違いない。多くのスーパースターたちを抱え、選手層の厚いユヴェントスでは、思うような出場機会が得られず、フィオレンティーナ時代のような輝きを放つことができない可能性もあっただろう。
しかし、この可能性は杞憂に終わる。キエーザは加入初年度からリーグ戦33試合に出場して9ゴール9アシストの活躍。さらに、チャンピオンズリーグでも4ゴール1アシストと(8試合に出場)、圧巻のパフォーマンスを披露したのだ。また、ミラン戦で2ゴールを決めたり、CL出場権がかかった最終節で先制ゴールを決めたり、ここぞという場面で頼りになる存在であった。ただ、ユヴェントスの不振もあってか、この時点でもまだキエーザの名前は、欧州全土に轟くほどではなかっただろう。普段セリエAやイタリア代表の試合を見ない人からすれば、「彼のことはよくわからない」という人も大勢いたのではないか。

だが、ついにキエーザの名前が欧州全土に知れ渡ることとなる。EURO2020での大活躍だ。大会開幕当初はベンチスタートだったものの、大会が進むにつれてスタメンを奪取していったキエーザ。いかなる状況でも個の力で打開できるその突破力でイタリア代表の攻撃を牽引したほか、2ゴールという目に見える結果も残し、母国の優勝に大きく貢献した。2度のPK戦の活躍もあり、大会MVPにはGKジャンルイジ・ドンナルンマが選ばれたが、この守護神に引けを取らない活躍を見せていたと言っても過言ではない。なお、EURO2020のベストイレブンには選ばれている。

この1年のこれほどの飛躍を誰が予想しただろうか。実際、ユヴェントスの昨季のチームメイトで、父エンリコとも一緒にプレイした経験があるGKジャンルイジ・ブッフォン(現パルマ)も伊『Gazzetta dello Sport』のインタビューで「彼(フェデリコ・キエーザ)がユヴェントスへやってきたとき、これほど良い選手だとは思わなかった。正直なところね。EUROでの活躍も信じられないほどだったよ」などと明かしていた。

EURO2020での活躍もあって、チェルシーがキエーザを獲得するために1億ユーロの巨額オファーを提示したとの噂もあるほどだ。移籍情報サイト『transfermarkt』が発表している市場価値も、ユヴェントス加入時は「4800万ユーロ(約62億円)」ほどであったが、EURO2020後に発表された最新のものでは「7000万ユーロ(約90億円)」までアップしている。キエーザにとってこの1年は、信じられないほど飛躍の年になったのではないか。

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