彼こそバロンドールにふさわしい? ピッチ上で“増殖”するチェルシーの掃除屋

CL決勝でも抜群のパフォーマンスを披露したカンテ photo/Getty Images

「間違いなく最高の選手」

「彼はピッチ上に何人いる?」、「時間を追うごとに彼は増えてないか?」、「またアイツだ。どこにでもいる」。チェルシーの試合があるたびに、SNS上ではそんな投稿が散見された。これはフランス代表MFエンゴロ・カンテへの称賛だ。ピッチ上のどこにでも現れ、鋭いタックルで相手の攻撃の芽を摘み続けた守備職人。今季のチェルシーにとって、彼は間違いなく中盤に欠かせない存在だった。

現地時間29日に行われたチャンピオンズリーグ決勝マンチェスター・シティ戦でも随所に見ることができた。特にインパクトが大きかったのは、52分にMFケビン・デ・ブライネに対して試みたタックルだろう。左サイドからのボールを受け取りバイタルエリアに侵入しようとしたデ・ブライネだったが、そのドリブルを背後からの鋭いタックルで阻止したのがカンテ。後ろのからのタックルは難易度が高いものの、このフランス代表MFは見事にノーファウルで世界屈指のMFからボールを奪取することに成功した。

このプレイも含めて、チェルシーのCL制覇に必要不可欠な存在となっていたカンテ。そんな彼こそ今年度のバロンドールにふさわしいか。すべては6月開幕のEURO2020次第ということになりそうだが、現時点ではCL制覇に貢献した守備職人も有力候補なのは間違いない。これでフランス代表がEUROで好成績を収めることとなれば、よりカンテの受賞を推す声も出てくることだろう。
「カンテのプレイにはゾッとするよ。見ているだけで雷に打たれたような気分になるんだ。私はアストン・ヴィラ在籍時にレスターと対戦したことがあったけれど、そのときも見ていて衝撃だったね。仲間が攻撃を防がれるたびに『彼は今何をしたんだ?』ってなったよ」(ジョー・コール)

「チェルシーにはかつてマケレレやラミレスといった優秀な守備的MFがいた。彼らも並外れた選手だったが、カンテはそのレベルを超えている。このポジションでプレイしたなかで、彼は間違いなく最高の選手だ」(リオ・ファーディナンド)

英『BT Sport』でCL決勝の解説を務めた2人のレジェンドも、カンテのパフォーマンスにはこのような評価を下している。現時点における守備的MFの最高到達点。彼がバロンドールを逃すこととなれば、今後しばらく守備的MFが受賞することはない。そう言っても差し支えないレベルの活躍だったと言っていいか。

結末がどうなるかわからないものの、間違いなく“世界最高”の称号を獲得してもおかしくはないレベルのパフォーマンスを披露した今季のカンテ。はたして、チェルシーの掃除屋は年末に最高の栄誉を受け取ることができるのか。今後の活躍にも注目したいところだ。

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