6月に開幕するEURO2020に臨むイングランド代表にとって、難しいのが右サイドバックの選択だ。昨今、スリーライオンズの同ポジションには優秀な人材が集中している。トレント・アレクサンダー・アーノルド、リース・ジェイムズ、カイル・ウォーカー、キーラン・トリッピアー、タリク・ランプティ……。パッと思いつくだけでもこれだけの選手がおり、ガレス・サウスゲイト監督も誰をファーストチョイスとするのかは開幕が間近に迫った今なお悩まされていることだろう。
しかし、そんななかで指揮官は新たな道を探ってみるのも悪くはないかもしれない。ひとつ提案したいのは、3バックシステムの採用だ。これならば、ポジションの被る複数の選手を同時起用することも可能だろう。
実際、現地時間15日に行われたFAカップ決勝では、チェルシーのR・ジェイムズが3バックの右センターバックとして起用されている。パフォーマンス自体も悪くなかっただけに、彼をそのポジションに置きながら他の選手に右ウイングバックを任せるという手も考えられないことはない。まして攻撃力に優れたA・アーノルドを起用するのであれば、WBの方が活きる可能性はあるだろう。
加えて、どちらのポジションにも対応可能なウォーカーも、このシステムならば短期決戦にてより重要な存在となってくるはずだ。ランプティも所属するブライトンでは右WBが主戦場。スタメンの幅が広がるという点で、3バックが魅力的なのは確かだ。2021年こそ4バックを使用しているイングランド代表だが、昨年はネーションズリーグのアイスランド戦を除いてスタートは全て3バックを採用している。土壌もないわけではない。
「ガレスが起用できる選手の自由度は信じられないものだ。この状況なら、イングランドは3バックでプレイすることも視野に入れるべきだと思うね。リースがCBでプレイできることが証明された今、トレントを少し前で起用できれば素晴らしいチームになると思うよ」(英『Daily Mirror』より)
かつてスリーライオンズで活躍したアシュリー・コール氏も、サウスゲイト監督にはこのように3バックの採用を提言している。もちろん、こういった選手たちを同時起用することが“目的”となってはいけない。しかし、他のポジションを任されても優れたパフォーマンスを披露することができる選手がいるのも事実。ひとつのオプションとして考えるならば、3バックは十分に採用する価値があるのではないだろうか。EURO開幕まではまだ少し時間があるだけに、サウスゲイト監督には来月6日に行われる親善試合・ルーマニア戦で一度このシステムを試してほしいところだ。