マンCの優勝は堅い? 快進撃を呼び込んだ攻撃陣の復調と首脳陣の好判断

エヴァートンを撃破し、12連勝を飾ったマンC photo/Getty Images

二桁差をひっくり返したのは過去に2度のみ

2020-21シーズンの約3分の2を消化したプレミアリーグ。年末年始まで優勝争いは近年稀に見る混戦模様となっていたが、ここにきてマンチェスター・シティが頭一つ抜け出した。まだ10試合以上残しているものの、このままマンCがトロフィーを手にする可能性が高いかもしれない。

17日、延期されていたプレミアリーグ第16節でエヴァートンと対戦したマンC。32分にフィル・フォデンのゴールで先制し、直後の37分に同点ゴールを許すも、63分にリヤド・マフレズ、77分にベルナルド・シウバがゴールネットを揺らし、3-1の勝利を収めた。リーグ戦で怒涛の12連勝を飾り(公式戦では17連勝)、2位マンチェスター・ユナイテッドとの勝ち点差を「10」まで広げている。

マンCは今季、序盤戦から守備陣は好調だったものの、攻撃陣はエースであるセルヒオ・アグエロの不調もあってか、これまでのような圧倒的な強さは鳴りを潜めていた。その結果、一時は9位まで順位を落とすこともあった。しかし、昨年末ごろから攻撃陣もようやくエンジンがかかり始め、2021年に入ってからのリーグ戦10試合で28ゴール。1試合3点以上奪った試合も6試合あり、その中にはチェルシー(3-1)、リヴァプール(4-1)、トッテナム(3-0)といった強敵との試合も含まれている。もちろん、直近10試合で28ゴールという数字は、リーグ内でダントツトップだ。なお、マンCはこの間の失点数も3点に抑えており、守備陣も相変わらず全く抜け目がない。

マンCの攻撃を支えるフォデン(左)とギュンドアン(右)photo/Getty Images

攻撃陣の復調の要因として最も大きいのは、期待の若手フォデンの覚醒と、偽9番イルカイ・ギュンドアンの得点能力の開花か。年が明けてから前者は4ゴール2アシスト、後者は9ゴール2アシストを記録(ともに10試合中9試合に出場)。フォデンは特に第23節のリヴァプール戦で圧巻のパフォーマンスを披露し、その才能を改めて証明して見せた。ギュンドアンは今季のリーグ戦得点数を11ゴールまで伸ばしており、キャリアハイを大きく更新中だ。好調な彼らの活躍もあり、チームの心臓ケビン・デ・ブライネの1ヶ月近い不在を感じさせず、2位との勝ち点差を二桁まで広げるに至った。

また、現在のマンCの快進撃は首脳陣の素晴らしい判断も大きな影響を与えているに違いない。近年の監督業事情に鑑みると、マンCほどのビッグクラブであれば、序盤戦の不調を受けて監督のクビを切る可能性も大いにあっただろう。監督交代によってチームを一度リセットし、浮上のキッカケを掴むのも一つの手だ。実際に、今季はチェルシーがその手法で調子を取り戻しつつある。しかし、マンCの首脳陣はチームが不調の中で、指揮官を簡単に切り捨てるのではなく、逆に今季限りとなっていたジョゼップ・グアルディオラ監督との契約の延長を選択し、指揮官への信頼を示したのだ。この期待に応えるかのように、ペップもきっちりチームを立て直し、浮上させてみせた。

現在のマンCを止めるのは、決して簡単なことではないだろう。ただ、それ以前に「10ポイント」という差は見た目以上に大きい。二桁以上のリードを得ながらも、最終的に優勝を勝ち取れなかったのは、プレミアリーグ史で2度(1995-96シーズンのニューカッスル、1997-98シーズンのマンU)しかないというデータもある(データサイト『opta』より)。はたして、マンCはこの勢いそのままに、王座を奪還することができるのか。

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