ここから“レジェンド級”になる可能性も ヴェルナーを評価するのはまだ早い

今季鳴り物入りでチェルシーに加入したヴェルナー photo/Getty Images

前半戦は少々苦戦を強いられるも

2020年夏、大きな期待を受けてドイツからイングランドへやって来たものの、現時点でその能力をなかなか発揮しきれていない選手がいる。RBライプツィヒから4750万ポンド(約64億円)にものぼるとされる移籍金で、今季からチェルシーに加入したドイツ代表FWティモ・ヴェルナーだ。

鳴り物入りでのブルーズ移籍だったことは間違いない。しかし、イングランドにおけるヴェルナーのキャリアはかなり厳しい出だしとなってしまった。今季はここまでリーグ戦17試合の出場でわずか4ゴール。近頃ウイングで起用される機会が増えたことも影響しているのだろうが、同選手は現地時間11月7日に行われたプレミアリーグ第8節のシェフィールド・ユナイテッド戦で得点を記録して以降、ゴールからは遠ざかることとなってしまっている。チェルシーの新たな得点源になると期待されていたものの、現時点でその期待に応えているとは言い難い。

しかし、そんなヴェルナーに痺れを切らすのはまだ早いか。かつてチェルシーのエースとして活躍したベルギー代表FWエデン・アザール(現レアル・マドリード)も、ブルーズ加入当初はなかなか得点を決めきれずにいたことを忘れてはいけない。実は同選手もチェルシー加入からリーグ戦17試合に出場した時点では、ヴェルナーと同じく4ゴールしか奪っていない。最終的にクラブ歴代3位となる110ゴールを積み上げた男も、ヴェルナーと同様に得点数は思いのほかスロースタートだったのだ。

クラブ歴代2位となる164得点を挙げたドログバも加入初年度はスローペースな出だしだった photo/Getty Images

他のレジェンドたちとも比較

クラブ歴代2位となる164得点を挙げた元コートジボワール代表FWディディエ・ドログバ氏も、加入直後の得点数は似たような数字。ヴェルナーと全く同じとまではいかないものの、同氏が加入後直後のリーグ戦17試合で挙げた得点数は「6」となっている。なお、同シーズンにおけるドログバ氏の得点数は年間通して見ても10ゴール。のちに伝説級のスーパーストライカーと呼ばれるようになった同氏だが、当時27歳だった加入初年度は意外にも大人しい成績だったのだ。

チェルシー以外の選手も見てみよう。実はアーセナルで長らく活躍した元フランス代表FWティエリ・アンリ氏も、ユヴェントスからやってきた1999-00シーズンには加入からリーグ戦出場17試合時点では4ゴールしか挙げていない。このシーズン、同氏は最終的に17ゴールを記録しているが、そのほとんどは後半戦の追い込みで稼いだものだった。これらの例を見るに、各方面から寄せられているヴェルナーへの批判は時期尚早と言えるか。

もちろん、今後も調子が上がらないようであれば相応の評価を下すべきだろうが、まだ加入して半年の選手にチームを背負えというのも酷な話。現時点で状態が芳しくないのは間違いないが、ヴェルナーがここから先人たちのように長くチームを牽引する選手となる可能性も決して低くはないはず。今後プレミアの水へ馴染んだ際に、どう化けるか。新加入FWの貢献度を評価するのはまだ早い。

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