アーセナル時代には期待の若手アタッカーとして名を馳せていた男だが、24歳のナイジェリア代表FWは新天地で古巣時代とはまた違った姿を見せている。エヴァートンに所属するアレックス・イウォビが、カルロ・アンチェロッティ監督の下で輝き始めた。
イウォビといえば、前所属のアーセナル時代にはウイングを主戦場としていた選手。しかし、意外にも現在エヴァートンでイウォビが活躍しているのはそのポジションでない。ここ最近、このナイジェリア代表FWはウイングバックとしてアンチェロッティ監督に重宝されているのだ。
左右どちらのサイドも担当できて、スピードに強みを持つアタッカーだったイウォビ。守備にもファイトできる点から、確かに彼はもともとWBの適性があったのかもしれない。直近2試合ではその強みを最大限に活かして、エヴァートンの両サイドを支える活躍を披露。移籍初年度となった昨季こそアタッカーとしてイマイチ試合に絡めなかったイウォビだが、今や彼はWBとしてチームに欠かせぬ1ピースとなりつつある。
そんなイウォビが、このコンバートに関して自身が思っていることを英『talkSPORT』へ語っている。どうやら、本人このWB起用をかなり気に入っている様子だ。アンチェロッティ監督からポジションの変更を打診されたときのことを振り返りながら、24歳は次のように話す。
「ある日、アンチェロッティは僕にこう話しかけてきた。『近々新しいシステムを試そうと思っているんだが、その中で君には新しいポジションをやってもらおうと思う。WBだ』ってね。少し驚いたけど、構わないと思ったよ。ポジションにこだわりはないし、自分にはそれができると思った。だからすぐにイエスって返答したよ」
「(コンバート後初戦となった)フラム戦は緊張したけど、とてもうまくいった。僕がWBをこなせると証明することができたね。ポジションを下げたことによって、マッチアップするSBの動きが見やすくなったのは発見だったよ。一歩引いた視点から見るだけで、その選手が中央のハメスを気にしているのか、それとも自分の突破に注意しているのかがよくわかるようになった。WBの位置からスプリントを開始することで、よりスピードに乗った状態で相手と勝負することもできるようになったね。本当にこのポジションは自分に適していると思うよ」
ポジションを下げることによって、アタッカー時代には見えていなかったものが見え始めたというイウォビ。長らくアタッカーとしての爆発を期待されていた同選手だが、彼が真に輝ける場所はWBだったのか。エヴァートンで新たな居場所を見つけた24歳に覚醒の予感がしてきた。