Jリーグが中断しているため、サッカーロスに陥っていて、物足りない日々を過ごしています。4月3日の再開を目指していますが確定事項ではなく(※編注:4月末現在では最短で6月13日まで延期)、先行きが見通せない状況です。しかし、事情を考えれば仕方ありません。当面、各チームが再開に向けて調整することになりますが、関係者にひとりでもコロナウイルス感染者が出たら、また延期されることが予想されます。
モチベーションの維持、コンディション調整などが本当に難しく、選手たちは不安な日々を過ごしていると思います。選手だけではなく、ご家族、チーム関係者、サッカーに関わるすべての人たち、さらには多くの人々がストレスを抱えていると思います。いまは我慢のときです。みんなで支えあってなんとか乗り越えていきましょう。
そうしたなか、最近テレビ観戦した試合で気になったシーンがありました。ラ・リーガ第27節バルセロナ×ソシエダはリオネル・メッシがPKを決めて1-0でバルセロナが勝利しましたが、疑問が残るカタチでの決勝点でした。
試合終盤にアルトゥーロ・ビダルが左サイドから入れたクロスがゴール前にいたソシエダのロビン・ル・ノルマンの左腕に当たりました。ノルマンは目測を誤っていてボールを視界に入れていなかったし、身体のバランスを保つための腕にたまたま当たったプレイでした。不自然な動きではなく、試合はそのまま進行されました。
ところが、どれぐらい経過したでしょうか……。数プレイが進んだのちにVARによる確認が行われ、主審がハンドの判定を下してバルセロナにPKが与えられました。ハンドを取られたプレイが77分、メッシがPKを決めたのが81分なので、約4分間のズレがありました。
ものすごく時間がかかったこと。ハンドだと判断したこと。さらには、もうひとつ疑問だったのが、ビダルにボールが渡った時点でオフサイドだったのではないかということです。PKにつながったハンドに関わるプレイなので、VARの対象になってもよかったはずです。しかし、そこまで
遡ることはありませんでした。こうしたシーンは、今後いくらでも出てくると思います。VARは各国で導入されたばかりで、多くの改善点があります。もっと効率よく、観戦している人にわかりやすくしていかなければならないでしょう。
プレミアリーグではわずか数センチをVARで確認し、オフサイドとして得点を取り消すシーンが目立ちます。「鼻先が少し前に出ているからといって、オフサイドを取るべきだとは思わない」とはアーセン・ヴェンゲルさんのコメントです。私もそのとおりだと思います。トライ&エラーでいいので、エラーが出たときは問題点を洗い出し、よりスムーズな進行で精度の高い判定ができるようにすべきです。選手たちの質が上がっているように、判定の質も高めていかないといけないと強く感じています。