[MIXゾーン]優勝を逃した札幌。チャナティップはPK戦9番目のキッカーだった

決定機を作り出していたチャナティップ photo/Getty Images

PKをミスして優勝できなかった思い出があった

10月26日(土)、埼玉スタジアムでルヴァン杯決勝戦が行われた。対戦カードはコンサドーレ札幌×川崎フロンターレ。どちらも勝てば同大会初優勝であり、J1を2連覇中の川崎に対して、札幌にとっては国内3大タイトル(J1、ルヴァン杯、天皇杯)の初優勝がかかった大舞台だった。

試合は点の取り合いとなり、120分間を終えて3-3。どちらにも優勝のチャンスがあるなか、どちらも相手の驚異的な粘りの前に失点を重ね、決着がつかず。勝敗の行方、優勝の行方はついにPK戦へ……という目まぐるしい展開となった。

迎えたPK戦では札幌が先にチャンスを掴んだ。というか、優勝にほぼ手が届いていた。なにしろ、5人目のキッカー、石川直樹が決めれば悲願の初優勝だったが、この日の試合展開と同様、PK戦もすんなりとは決まらなかった。石川直樹のシュートが相手GKに止められると、6人目のキッカー、進藤亮佑も決めることができなかった。PK戦に4-5で敗れ、掴みかけていた優勝が札幌の手からこぼれていった。
「見ている方々にとって面白いゲームだったと思います。もちろん、あと一歩で優勝できなかったので悔しいですが……」

試合後、こう言葉を残したのは厳しいマークを受けながらも120分間ピッチに立ち続けたチャナティップだ。抜群のキープ力、正確なパスで何度かチャンスを作り出し、延長戦前半には鋭い縦へのドリブル突破で相手のファウルを誘発し、FKを獲得。これを福森晃斗が決めて一時は3-2とリードを奪った。

「たしかに、マークが厳しかったです。たぶん、研究されて厳しくなっていたと思います。でも、いい場面もありました。(FKになったプレイは)自分自身で抜け出して点を取りにいきました。大きな舞台でのプレイ経験はあるので、ストレスはなかったです。なによりも、勝ちたかったです」

技術力の高さ、キックの精度などを考えると、PK戦ではチャナティップもキッカーを務めると考えられた。決めれば優勝という5人目を迎えて、「最後はチャナティップかな」と思ったファンも多いはず。しかし、最後まで蹴ることなく試合は終了した。

「(PK戦の順番は)監督が選手の意見を聞いて決めました。ボクは9番目でした。PKをミスして優勝できなかった子どものころからの思い出があったので、自分は最後のほうがいいと思いました。練習のなかでPKはやっていましたが、ボクよりも自信を持っている選手がいると感じていたので、最後のほうがいいと思いました」

90分間を終えて2-2。120分間を終えて3-3である。先制点を奪い、90分+5分という土壇場で同点に追い付き、延長戦前半に1点をリードするところまでいった。さらには、相手が退場者を出し、数的有利にもなっていた。PK戦でも先にビッグチャンスを掴み、本当にあと一歩のところまで来ていた。しかし、最後に導き出された結果は準優勝だった。タイトルを獲得するために、札幌にはあとなにが必要だったのだろうか?

「正直、わからないですね。今日はみんなしっかりとプレイできていました。ただ、ミスで失点してしまい、優勝できませんでした。監督さんがいろいろと教えてくれて、若い選手たちを中心にチームは成長できています。いまはみんなが“優勝したい”という気持ちで頑張っています」

初優勝はならなかったが、間違いなく国内3大タイトルに手が届くところまで来ている。あまりにも惜しい敗戦となったが、札幌は十分に力を示したといえる。

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