「勝つだけでは不十分」 ローマの新指揮官は内容にこだわるリアリスト

ローマ再建のミッションを託されたフォンセカ photo/Getty Images

シャフタールの復権に寄与した名将

来季から新しくローマを率いることが発表されたパウロ・フォンセカ。彼はウクライナにおける内戦の影響で、チームが崩壊寸前の危機に陥っていたシャフタール・ドネツクを3季連続で国内2冠に導いた有能な指揮官だ。昨季のチャンピオンズリーグでも、グループFで同居したナポリを差し置いてベスト16進出を成し遂げている。その実力に疑いの余地はない。そんなフォンセカが新たにチームを率いることとなった今、期待に胸を膨らませているロマニスタは大勢いることだろう。

では、フォンセカ新監督は一体どのようなチームを作り上げるのだろうか。気になっている人は多いはず。伊『calciomercato』によると、フォンセカはチーム作りの指針を次のように語っている。

「まず第一に、対戦相手が小規模なチームだろうと大規模なチームだろうと関係なく、同じアプローチで試合に臨むよ。我々は高品質の試合を実践できて、競争力のあるチームを構築しなければならない。私にとってゲームのクオリティは非常に重要だ。我々は勝ちたいと願っている。主な目標は、ハイレベルな試合運びの仕方を理解しているチームを組むことだ。勝つだけでは不十分だよ。もちろんそれも大事だけど、僕らのアイデアをチームに組み込みたいんだ。質が高く、ファンを興奮させるような試合を私は見たい。試合後、『僕らは勇敢に、うまくプレイしたから勝ったんだ』って言えるようにね。私にとって、これは非常に重要なことさ」
フォンセカは勝利までの過程にこだわりたいと述べている。一見、理想を掲げすぎて失敗する監督のようにも思えてしまう。しかし、彼はシャフタールで格上のチームと対戦した際には、自分たちのスタイルに固執せずロングボールを多用することも見受けられた。チームの型を大切にする監督ではあるが、リアリストな側面も持ち合わせている。弱者が強者に対抗する術を心得ているフォンセカは、セリエAでの影響力を失いつつあるローマにとってうってつけの指揮官と言えるだろう。

彼の標榜するサッカーは、今季途中で解任となったエウゼビオ・ディ・フランチェスコのそれに近いものがある。2017-18シーズンのCL準々決勝で、バルセロナを粉砕したサッカーに希望を感じた人は多いはず。ディ・フランチェスコは夢半ばで挫折してしまったが、はたしてフォンセカはローマに新たなスタイルを植え付けることができるのか。まずはCL出場権を確保したいところだ。

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