急逝から1年 イタリア各地でアストーリの死を偲ぶ

前半13分にアストーリを偲ぶ時間が設けられた photo/Getty Images

彼はまだ我々と共にある

イタリアの人々の心の中には彼が存在し続けているようだ。2018年3月4日、当時フィオレンティーナの主将を務めていたダビデ・アストーリは遠征先のホテルでの就寝中に急死した。まだ31歳の現役選手との突然の別れを伝えるニュースが、イタリアだけでなく全世界のフットボールファンにとって衝撃を与えたことは記憶に新しい。

今季からセリエAではキャプテンマークのデザイン統一が行われているが、フィオレンティーナは特例としてアストーリのデザインが施された特別なものの着用を許可されている。このように、今でもイタリアサッカー界は彼の死を風化させない流れがある。そんな中、週末に開催されたセリエA第26節では、1周忌に合わせて彼を偲ぶ取り組みがなされたようだ。

伊『calciomercato』は、各試合会場において前半13分に一旦プレイを中断し、スクリーンにアストーリの写真を映しながら13秒間の拍手が行われたことを報じた。この共通する”13”という数字は彼の背番号でありアイデンティティでもある。その理由としてアストーリがACミラン下部組織時代、当時のトップチームに所属した元イタリア代表DFアレッサンドロ・ネスタに憧れたことを紹介している。

残念ながら彼自身はミランでの出場機会こそなかったものの、その後はカリアリ、ローマ、フィオレンティーナなどで主力としてプレイした。ローマでは先にブラジル代表DFマイコンが着用していたこともあり23を選択したが、カリアリとフィオレンティーナでは13を背負っている。彼の背番号に対する並々ならぬ思いをくみ取った両クラブは、死の一報を受けた直後に背番号13を永久欠番としている。

先日には飛行機の墜落事故によって、ナントからカーディフへの移籍が決定していたアルゼンチン人FWのエリミアーノ・サラが亡くなった。現役選手の訃報が2年連続で伝えられ、両選手に関わった人々の悲しみは計り知れない。今回の取り組みは人々が故人を忘れないという決意と、共にこれからも歩んでいこうという意思を改めて示した格好だ。時間を巻き戻すことはできないが、今後このようなことが起きないことを願うばかりである。

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