[ロシアW杯#21]VARでGL突破の望みをつなぐ豪州 難敵までに16強を決めたかったデンマーク

再びVARに助けられたオーストラリア

再びVARに助けられたオーストラリア

前半のうちにスコアを振り出しに戻し、喜びをあらわにするオーストラリアメンバー photo/Getty Images

試合はいきなり動く。7分、オーストラリアのクリアボールに反応したシェーネが、ワンタッチで浮き球のパスを前へ。それを受けたヨルゲンセンが、ペナルティエリア中央に侵入したエリクセンにノールックで横パスを送ると、背番号10が左足で美しいダイレクトボレーを叩き込み、デンマークが幸先の良いスタートを切った。

出鼻をくじかれたものの、オーストラリアは焦らずに守備のブロックを固め、両ウイングの推進力を活かした縦に速いカウンターで相手ゴールに迫る。ただ、得点には至らない。一方のデンマークは多彩な攻撃で対抗。流れるようなパスワークと、長身FWを狙ったロングボールやクロスを織り交ぜながら、相手に圧力をかけていく。

3月のパナマ戦から無失点を続けるデンマークの堅守が破られたのは、36分だった。CKからのクロスを、レッキーが頭で合わせたボールがポウルセンの腕に当たる。一旦はノーファウルの判定となったが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)でオーストラリアにPKが与えられると、これをジェディナクが冷静にモノにし、試合は振り出しに戻った。再びリードを奪いたいデンマークは45分、シストがロングボールに反応。だが、この攻撃は実らず同点で前半を折り返すことに。

難敵との一戦を前にデンマークは痛恨のドロー

難敵との一戦を前にデンマークは痛恨のドロー

やはりデンマークのパスワークの中心にはエリクセンがいた。ゴールを記録するも、勝利を逃したことで不満げな表情を浮かべる photo/Getty Images

勝ち越しを狙うデンマークは後半頭からラインを高く保ち、キープ力に長じるヨルゲンセンをターゲットにして、果敢な攻撃を披露する。それに対し、オーストラリアはショートカウンターで相手守備陣の裏を狙う。一進一退の攻防が繰り広げる中、65分を過ぎたあたりから運動量で勝る“サッカルーズ”(オーストラリア代表の愛称)が主導権を握る。右ウイング、レッキーのスプリントにデンマーク守備陣は大いに苦しんだ。

そして試合終了間際、68分からピッチに立っていた17―18シーズンのAリーグ最優秀若手選手アルザニーが魅せる。左サイドから鋭く切り込み、左足で強烈なシュート。しかし、これはシュマイケルがファインセーブし、立て続けにレッキーが放ったボレーも得点には結びつかず、オーストラリアが逆転するには至らない。

するとアディショナルタイムに、デンマークがCKを獲得。キッカーのエリクセンがファーサイドに張っていたブライスワイトに通すも、背番号11のシュートはGKライアンがキャッチし、そのまま1-1のドロー決着となった。

1戦目でフランスに1-2の敗戦を喫したオーストラリアは、3戦目のペルー戦に勝利し、デンマーク対フランス戦の結果次第で06年大会以来の決勝トーナメント進出が決まる状況に。一方、勝点を4に伸ばしたデンマークは、02年大会以来となるグループリーグ突破に王手。ただ、3戦目で激突する“レ・ブルー”(フランス代表の愛称)には、通算5勝1分8敗と負け越している。その難敵と対決する前にベスト16進出を決定づけておきたかったデンマークにとっては、手痛いドローとなった。

[スコア]
デンマーク代表 1-1 オーストラリア代表

[得点者]
デンマーク代表:エリクセン (7)
オーストラリア代表:ジェディナク(38)

文/遠藤 孝輔

theWORLD206号 2018年6月22日配信の記事より転載

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