[ロシアW杯#22]“新10番”ムバッペが突き刺した! ペルー迎撃のフランスが決勝Tへ

猛攻に晒されたフランス ロリスの好セーブで潮目が変わる

猛攻に晒されたフランス ロリスの好セーブで潮目が変わる

今大会で10番を背負うムバッペが待望のゴール photo/Getty Images

少しずつだが、フランスのエンジンがかかってきた。

グループCの第2戦、フランスとペルーの一戦は19歳にして10番を背負うムバッペのゴールでフランスが勝利。優勝候補の一角に挙げられるフランスの決勝トーナメント進出と、ペルーのグループリーグ敗退が決定した。

両者とも第1戦から攻撃陣の顔ぶれを変更してこの試合に臨んだ。フランスはジルーを1トップに据え、2列目にムバッペ、グリーズマン、マテュイディを並べる[4-2-3-1]の布陣。同じく[4-2-3-1]のペルーは、第1戦はベンチスタートだったエースのゲレーロがスタメンに名を連ねた。
 
立ち上がりから猛攻を仕掛けたのは、後がないペルー。右サイドのカリージョが再三にわたって突破を仕掛けると、チームとしても素早く攻守を切り替えフランスを押し込む。
フランスがようやく攻撃に転じたのは11分。グリーズマンのシュートを機に少しずつ盛り返すと、ポグバの強烈ミドル、さらにCKからヴァランのヘディングシュートと立て続けにチャンスを作った。一方のペルーは、20分を過ぎたあたりで攻撃の起点となっていたカリージョのポジションを左サイドにシフト。31分にはゲレーロが最初の決定機を迎えたが、この試合で代表キャップ100となるフランスの守護神ロリスがビッグセーブで失点を回避した。

ゲームを攻勢に進めたのはペルーだったが、要所ではフランスが誇るタレントの存在感が際立った。中盤ではポグバとカンテが球際の強さを見せて突破を許さず、ヴァランを中心とする最終ラインは安定した守備でペルーの攻撃を跳ね返した。34分に生まれた決勝ゴールを演出したのはポグバだ。カウンターに転じようとするペルーから高い位置でボールを奪い、迷わず縦にスルーパス。ジルーの左足シュートは相手に当たったが、ゴールに向かったボールをムバッペが難なく押し込んだ。

“2枚替え”で息を吹き返すも、ペルーは決定力不足を露呈 

“2枚替え”で息を吹き返すも、ペルーは決定力不足を露呈 

31分にゲレーロがシュートを放つが、GKロリスの正面に photo/Getty Images

ビハインドを負って追い込まれたペルーは、後半開始と同時に交代枠を2つ使った。トップ下に百戦錬磨のベテランであるファルファンを置き、テクニシャンのクエバを左、ドリブラーのカリージョを右に戻す。直後の50分にはファルファンを起点とした攻撃からアキーノがミドル。このシュートがポストを叩いたことが、結果的には勝敗を分けた。

60分以降はペルーの猛攻が続いた。74分にはクエバのスルーパスからカリージョがクロスを放り込み、ファルファンがボレーシュート。その後も細かくパスをつないで打開を試みたが、意識が守備に傾いたフランスの壁は高く、最終局面では個の勝負を制することができない。88分に迎えた好位置でのFKのチャンスも、ゲレーロのシュートは惜しくもGK正面。

後半は押し込まれ続けたとはいえ、余裕さえ感じさせたフランスが1点のリードを守り抜き、タレント力の高さを見せつけて勝利を手にした。

90分トータルの内容は、まだ物足りない。それでもきちんと勝利を掴むチームとしての底力と、攻守両面においてどのポジションでも個の存在感が光るタレント力の充実ぶりは、やはり際立つ。ファイナルを見据えた調整は、ゆっくりと順調に仕上がってきている。


文/細江 克弥

『ワールドサッカーキング』『ワールドサッカーグラフィック』などの編集部を経て、2009年にフリーのサッカーライター/編集者として独立。現在も本誌をはじめ、『Number』などさまざまな媒体に寄稿している。欧州からJリーグ、なでしこリーグまで、守備範囲は幅広い。

theWORLD206号 2018年6月22日配信の記事より転載

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