[ロシアW杯#12]先行逃げ切りならとにかく強い! 韓国との接戦を制したスウェーデン

前半、韓国にアクシデント 存在感発揮の左SBが負傷交代

前半、韓国にアクシデント 存在感発揮の左SBが負傷交代

均衡を破ったスウェーデン 。先制点の喜びを分かち合う選手たち photo/Getty Images

両軍ともにW杯直前のフレンドリーマッチ2試合で無得点。攻撃力に難を抱えるチーム同士の対戦は案の定、ロースコアでの決着となった。

試合の入り方が良かったのは韓国だ。コンパクトな守備陣形を組み、高い位置からプレスを敢行して、スウェーデンにボールを持つ余裕を与えない。攻撃時は[4-3-3]のCFを務めたキム・シヌクをターゲットにしたロングボールの攻勢が機能。197cmを誇るこの長身CFが制空権を握ったことで、韓国が押し込み、スウェーデンが守る構図が出来上がった。

しかし、地力に勝るスウェーデンが15分ごろから盛り返す。落ち着いたボール回しで主導権を握ると、18分にはCBグランクヴィストがベリとのワンツーから相手ボックス内に侵入。意表を突く攻撃で韓国守備陣に圧力をかけていく。そして21分、スウェーデンに決定機が到来。スローインの流れからゴール前でフリーになったベリが左足を一閃したのだ。だが、このシュートはコースが甘く、韓国GKチョ・ヒョヌに阻まれてしまう。
窮地を脱し、反撃に出たかった韓国にアクシデントが発生したのは27分だった。相手陣内で鋭いドリブル突破を図るなど、存在感を示していた左SBのパク・チュホが右足の太もも裏を痛め、ピッチを退いてしまうのだ。シン・テヨン監督はすかさずキム・ミヌを送り込んだが、予期せぬ形で貴重な交代カードを切る羽目になった。

欧州の強豪国を封じ込めた鉄壁のディフェンス

欧州の強豪国を封じ込めた鉄壁のディフェンス

両国のエース対決。ソン・フンミンのドリブルを身体を張って止めるフォルスベリ photo/Getty Images

明らかに流れの悪い韓国を追い込むように、スウェーデンはジャブを繰り出し続ける。相手の分厚い守備ブロックを崩すのに苦労しつつも、ベリの最終ライン裏への鋭い飛び出しなどを活かし、ジワリジワリと相手ゴールに近づいていく。この攻勢を強めていた時間帯に、時折、ソン・フンミンのドリブル突破による韓国のカウンターに脅かされたものの、肝心のシュートには持ち込ませなかった。

ボールを支配しつつ、守備の集中も切らさないスウェーデンに歓喜の瞬間が訪れたのは63分だった。キム・ミヌと接触したクラーソンが、韓国のボックス内で激しく転倒。レフェリーがこのプレイを一度は流したものの、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)での検証後、スウェーデンにPKが与えられたのだ。これを主将のグランクヴィストが冷静に沈め、ついに北欧の雄がリードを奪った。

こうなると、先行逃げ切り型のスウェーデンはとにかく強い。予選でオランダやイタリアを封じ込めた鉄壁のディフェンスが、プレミアリーグで2シーズン連続の二桁得点を記録したソン・フンミンを擁するとはいえ、総合的にはクオリティの低い韓国のアタッカー陣に崩されるはずもなく、最後まで集中した守りを披露。特にラスト15分は圧巻で、相手にあえてボールを委ねて自陣のスペースを埋める陣形を組むと、ことごとくシュートやクロスを跳ね返し、虎の子の1点を最後まで守り切ってみせた。

一方の韓国は、73分にとっておきの切り札であるイ・スンウを投入するなど手は打ったが、崩しの局面でのプレイ精度とアイデアの不足を露呈。92分にファン・ヒチャンがフリーでヘディングを放つなど惜しい場面を作り出すのが精一杯で、結局、スウェーデンの術中にハマる結果に。攻撃陣の奮起なくして、続くメキシコ、ドイツ戦での番狂わせはありえないだろう。

[スコア]
スウェーデン代表 1-0 韓国代表

[得点者]
スウェーデン代表:グランクヴィスト(65)

文/遠藤 孝輔

theWORLD203号 2018年6月19日配信の記事より転載

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