セリエAは“3バックの奴隷”になっている 3バックばかり使うチームが増え、それがイタリアサッカー界の質低下に繋がっているとの見方も

昨季はナポリがスクデットを手にした photo/Getty Images

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育つ選手のタイプが偏ってしまう恐れがある

現在セリエAで首位に立つミランを指揮するマッシミリアーノアッレグリは、今季開幕から[3-5-2]のシステムをベースに戦っている。これが今の成績に繋がっているのは確かだが、イタリア国内では『3バックを使うチームが多過ぎないか』との疑問も生まれ始めているようだ。

今のセリエAを『3バックの奴隷』と紹介したのは、伊『Calciomercato』だ。他リーグでも3バックを採用しているチームは多くあるが、イタリアの場合は特に目立つ。

ここ15年ほどを振り返ると、ワルテル・マッツァーリが3バックをベースにナポリで魅惑のサッカーを展開し、その後アントニオ・コンテがユヴェントスで大成功を収めた。コンテはその後のインテル、現在指揮するナポリでも3バックを好んで使用してきた。
[3-5-2]、あるいは[3-4-2-1]のシステムを使っているチームが目立つが、同メディアは3バックがイタリアで流行している理由について「3バックが好まれる理由は理解できる。組織的な守備、スペースのコントロールを常に重視してきた文化から、現代サッカーにおける3バックはこれらのニーズに対する最もシンプルな解決策なのだ」と分析している。

現代の3バックでは守備時にウイングバックの選手が最終ラインに吸収され、実質5バックとなる。最終ラインに5枚並べることでスペースを消しやすくなり、アッレグリ率いる現在のミランも守備は安定している。

しかし、1つのシステムばかりが流行してしまえば、国内で育つ選手のタイプが偏る危険がある。実際に同メディアはアタランタ、現在ローマを指揮するジャン・ピエロ・ガスペリーニの3バックを除けば、ほとんどのクラブの3バックは守備重視の戦いになっていると見ていて、3バックシステムの普及がイタリアサッカー界の質低下を招いていると問題視している。

例えば攻撃的なウイングだ。[3-5-2]、[3-4-2-1]のシステムでは純粋なウイングが配置されないため、そうした選手は育ちづらいかもしれない。両システムではウイングバックの選手がサイドを上下動することになるが、純粋なウイングに比べて突破力や攻撃力が劣ることが多い。そのため、同メディアはセリエAの各クラブが対戦相手にサイドでボールを持たれることを怖がっていないと指摘。中央を固めてサイドへ相手の攻撃を誘導すればある程度守れてしまうというわけだ。

これが創造性あるアタッカーの育成を困難にしていると見ていて、3バックばかりが流行するのも考えものか。

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