ジェレミー・フリンポン(24)が来季からプレミアリーグ王者リヴァプールでプレイすることが決まった。クラブは彼の契約に設定されていた3500万ポンドの解除条項を行使し、5年契約で獲得。新監督アルネ・スロットの下で最初の補強として迎え入れられた。彼に課された任務は明確であり、絶対的存在だったトレント・アレクサンダー・アーノルドの後継者となることだ。同選手をなぜ獲得したのかを『ESPN』が伝えている。
スピードと推進力で違いを生むフリンポンは、攻撃的な特性を持つウイングバックであり、スロットが志向する縦に速いトランジションサッカーに適合すると見られている。前所属のレヴァークーゼンでは[3-4-3]の右ワイドで起用され、公式戦190試合で30得点44アシストという圧巻の数字を残しており、十分と言える実績を収めている。
守備面ではA・アーノルドに劣るとの指摘もあるが、今シーズンのデュエル勝率は54.3%と、今季39.7%にとどまったA・アーノルドを上回る。パス成功率も84%と安定しており、これもまたA・アーノルドを上回っており、懸念点とされていた部分を払拭するスタッツを残している。攻撃的なスペースへの進出とショートパスの精度に強みを持つフリンポンは、ビルドアップや守備面においても貢献できることを証明している。
また、フリンポンは中央エリアへのアンダーラップでも危険な存在になれる選手であり、ウインガーがサイドに留まっている時に内側へドリブルする能力に長けている。これは特にコンパクトな相手守備陣に対して有効な手段である。引いて守るスタイルの相手を崩す際にも力を発揮すると同紙は評価している。
移籍の決め手となったのはプレイ面だけでなく、陽気な性格であることも大きな要因のようだ。2023-24シーズン、レヴァークーゼンがクラブ史上初のブンデスリーガ制覇を成し遂げた直後、フリンポンはスタジアムのトンネルに逃げ込んでいた。伝統の「ビールシャワー」から逃れるためであり、『ESPN』のリポーターの背後で笑顔を見せる彼の映像は瞬く間にSNS上で拡散され、その愛嬌のあるキャラクターはドイツ国内外で注目を集めていた。厳しいシーズンを戦う中で、チームにエネルギーをもたらす存在として期待が集まっている。
さらに、UEFAの「ホームグロウン」規定においても、マンチェスター・シティのアカデミーで育成された経歴が評価されており、登録面でも価値ある存在とされたようだ。同規定ではフリンポンはホームグロウン選手であり、スカッドの構築においても有利に働くだろう。
他にも高いユーティリティ性が武器となり、12月から開催されるアフリカネイションズカップでモハメド・サラーが不在となる間、フリンポンがより高い位置でプレイする可能性もある。
若さだけでなく、ユーティリティ性や明るいキャラクター、そして何よりシステムにフィットできる可能性の高いプレイスタイルは、スロット新体制の武器になるだろう。
「彼はいい人でもある。ロッカールームで他の選手と話していると、『ああ、彼は僕の親友だよ』と言う。僕は『フリンポンには親友が何人いるんだ?』って思うよ」
そう語るのは、ドイツでフリンポンを取材してきた記者の言葉だという。その明るさとピッチでの爆発力でフリンポンはA・アーノルドとは異なるアプローチで、リヴァプールの右サイドに新たな物語を刻もうとしている。