もうアジアは“タレント力”だけで勝てる環境ではなくなった 強豪国に求められる新たな策「リソースを投入するだけでは……」

アジアカップ2023はカタールの連覇で幕を閉じた photo/Getty Images

アジアのレベルは確実に上がっている

カタールの連覇で幕を閉じたアジアカップ2023は、何かとサプライズの多い大会だった。中東勢の躍進が印象的で、決勝のカードがヨルダンVSカタールになるとは完全な予想外だったと言える。

中東のレベルアップでアジアの戦いは新たなフェーズへと突入した感があり、今大会で批判を浴びた強豪国の監督も多い。

その1人が韓国代表監督ユルゲン・クリンスマンだ。韓国はベスト4まで進んだが、その戦いの多くはギリギリのものばかりだった。『ゾンビフットボール』なんて呼ばれ、準決勝ではヨルダン相手に枠内シュート0で敗北。大会中よりクリンスマンはピンチなのに笑いすぎと批判されることもあり、韓国内での評価は低い。
『The Athletic』はクリンスマンの戦い方に関し、ソン・フンミンやイ・ガンインら海外組の個人能力に依存しすぎとの評価だ。

「前任のベントは後方から組み立てるスタイルを4年間で確立しようとしたが、クリンスマンは組織よりも個人の方に焦点を当てていたようで、Kリーグの選手とチームに関するチェックが不足していると非難されてきた。彼には確固たる戦術プランがなく、それよりもオーラやエゴで対処しようとしているとの評判だ」

韓国もタレント力ではアジアトップクラスだが、もはやアジアの戦いはタレント力だけで押し切れるものではなくなった。それは決勝に辿り着けなかった日本、オーストラリア、イランといったアジアの強豪国も同じだろう。

英『The Guardian』はアジアサッカーの進化を実感しており、「リソースを投入するだけでは不十分だ。それは1つのエネルギーにはなるが、グラハム・アーノルド、クリンスマン、ロベルト・マンチーニ、森保、ガレノイーらにとっての課題と解決策はピッチ上にある」と強豪国の監督たちに新たな策を求めている。

ヨルダン、カタールは国内組が中心で、ネームバリューでは日本やイランより明らかに劣る。しかし、組織的に連動した攻撃と守備があれば、強豪にも勝てることが今回のアジアカップで証明された。

アジアカップへの視線も変わったはずで、今後はワールドカップへ向けた予選を含めアジアの戦いも面白いものになっていきそうだ。

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