11月下旬からスタートしたFIFAワールドカップ・カタール大会もグループステージの日程を終え、いよいよ決勝トーナメントがスタートすることになる。
『グループA』
グループAはオランダが首位、セネガルが2位で決勝トーナメント進出を決めた。オランダはグループ運に恵まれたという見方もできるが、16強入りは2014年のブラジル大会以来となる。守備を強みとしており、3試合で失点はわずかに1。フィル・ジル・ファンダイクが統率する守備陣は安定しており、続くアメリカ戦でもクリーンシートを達成したい。
不安要素は攻撃陣だったが、若いコーディ・ガクポが躍動している。今後ステップアップ間違いないといわれている若手であり、攻撃もそれほど心配ではないか。
セネガルはエースであるサディオ・マネを欠いているが、3試合で5ゴールと得点数は十分だ。第3節はエクアドルに競り勝っており、勝負強さもある。次のイングランドは破壊力のあるチームだけに、どう立ち向かうのか。
『グループB』
イングランドは3試合で9ゴールとさすがの得点力を見せている。相手を綺麗に崩すわけではなく、セットプレイやカウンターから得点を挙げており、その切れ味は大会屈指だ。ベンチから出てくる選手も豪華で、息切れする心配はない。ただアメリカ戦のように急にゴールを奪えなくなる試合もあり、そういったゲームを避けられるかがカギになる。
グループB残りの一枠を争ったイラン対アメリカは前半のリードを守り切ったアメリカが決勝トーナメント進出を果たした。親善試合で日本に敗れるなどコンディション面が心配されていたアメリカだが、本大会では1勝2分と負けずに駒を進めている。
『グループC』
アルゼンチンが敗れる波乱スタートとなったグループCだが、終わってみればアルゼンチンが2勝で首位通過となった。大黒柱であるリオネル・メッシだけじゃなくフリアン・アルバレス、エンソ・フェルナンデスと2人の若手が躍動しており、新世代がチームを支えている。ポジティブな要素が多く、このままファイナルまで突き進みたい。
アルゼンチンに続く残り一枠はポーランド、メキシコ、サウジアラビアの3チームで争われ、結果勝ち点4でポーランドが2位通過となった。メキシコも3試合終えて勝ち点4だったが、得失点差の結果ポーランドが上を行くことに。
サウジアラビアはアルゼンチンを破る金星を挙げるも、その後の2戦では1ポイントも勝ち点を得ることができなかった。とはいってもメキシコ戦は1-2の接戦であり、可能性は大いにあっただけに残念だ。
『グループD』
グループDはフランスとオーストラリアが次のステージに駒を進めた。意外だったのはデンマークの最下位だ。直近のUEFAネーションズリーグではフランスを撃破していたが、このW杯では攻撃陣が沈黙。3試合で1ゴールしか奪えず、大会を去ることに。ボックス内で怖さを見せられるストライカーがおらず、思うような結果は得られなかった。
オーストラリアは初戦をフランス相手に落としたが、その後2連勝と負けを引きずらなかった。堅守が機能しており、とくにグループステージ最終戦のデンマーク戦はほとんどの時間ボールを握られていたが、少ないチャンスを仕留めている。決定力の高さが光っており、1試合で必ず1ゴールを挙げられる勝負強さは今後も生きていくだろう。
『グループE』
このグループは2回のジャイアントキリングを日本が成し遂げ、まさかの1位通過でクロアチアが待つベスト16へ駒を進めた。圧倒的に試合を支配されながらもドイツ、スペインを撃破しており、絶対的な格上が日本には合っているのだろう。ボールを持つコスタリカ戦では敗れており、相性がハッキリしているチームだ。その強みは決勝トーナメント進出で生かされることになるが、今のクロアチアはドイツやスペイン級の絶対的な格上なのだろうか。
ボールを支配することを戦術の中心とするドイツとスペインは日本に屈した。ともに前半圧倒的な展開を見せながらも、後半ギアを上げる日本に適応することができていない。そういったボール保持型のチームは(デンマークやベルギー)今大会苦戦している傾向にある。