水沼貴史です。熱き戦いが繰り広げられた欧州サッカーの2021-22シーズンもついに終了。今季も各リーグさまざまなドラマがありましたが、ブンデスリーガに関して言えば、「バイエルンの1強状態に対して」という点からすると、ドルトムントやレヴァークーゼン、RBライプツィヒあたりが「もっとやってくれないとね」という感じはあったかもしれません。ただ、監督交代が行われてどうなるのかという中で、欧州5大リーグでは前人未到であったリーグ10連覇を成し遂げたバイエルンがやっぱりすごい。これに尽きると思います。リーグをより一層盛り上げるためにも、来季こそは彼らを止めるチームが出てきてほしいです。
一方で、今季のブンデスリーガは「日本人の活躍が素晴らしかった」という印象もあります。新たな才能を開花させた原口元気(ウニオン)、チーム内得点王に輝いた奥川雅也(ビーレフェルト)、ブレイクを果たした伊藤洋輝(シュツットガルト)……。また、ブンデスリーガでの出来事ではありませんが、鎌田大地と長谷部誠が所属するフランクフルトは、バルセロナやウェストハムといった強豪クラブを退けてヨーロッパリーグ優勝を成し遂げています。そして、今季も語らずにいられないのが遠藤航(シュツットガルト)の活躍でしょう。そこで、今回は遠藤について少々話したいと思います。
ヨーロッパリーグの出場権を争った昨季に対して、今季は残留争いと、チームとしてはかなり難しいシーズンではあったと思います。強豪クラブのように毎年毎年整った戦力で戦えるわけではありませんし、エースであるオーストリア代表FWサーシャ・カライジッチが前半戦を負傷離脱していたことなどもありましたからね。シーズン通してみると、波があったのは間違いないでしょう。
そんな中で、昨季までの実績が認められ、今季はシュツットガルトのキャプテンに任命された遠藤。長谷部もそうですが、まずキャプテンとしてあの場に立っていること自体が素晴らしい。そして、チームを最後の最後で残留へと導く最終節でのあの劇的ゴール……。シュツットガルトの今季初ゴールも遠藤でしたし、まさに遠藤で始まり遠藤で終わったシーズンだったのではないでしょうか。責任感みたいなものをずっと背負ってきたんだろうなと思いました。オリンピックへの参加でチームへの合流が遅れるなど、決して簡単な初キャプテンではなかったと思いますが、彼がそれだけのパーソナリティと能力を持っていると、周りから認められている証拠です。それをシーズン通してもしっかり証明できたと思います。
また、背中でチームを引っ張る姿は得意の球際でもあらわれており、2年連続でデュエル勝利数が1位。昨季のデュエルキングが「たまたま」だったわけではないことも証明しました。アンカーだけではなく、今季はインサイドハーフとして数多くプレイしたことで、より攻撃的な守備が見せられたのだと思います。バランスや状況を見なければならないアンカーに比べてインサイドハーフは後ろにもう1枚仲間がいるということで、ガツガツ行けるポジションでもあると思いますからね。遠藤の良さや強みがより出た、出しやすかったのではないでしょうか。