[西岡明彦]新オーナー選定に揺れるチェルシーの未来は!?

プレミア最強ガイド #89

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チェルシーを手放すこととなったアブラモビッチ氏 photo/Getty Images

 レアル・マドリードとの死闘に敗れ、チャンピオンズリーグ2連覇の夢が消滅したチェルシー。選手やスタッフが意気消沈している中、新オーナーを決める手続きが本格的に開始されることになりました。

 当初、売却設定額30億ポンドと推定されるロマン・アブラモビッチに代わる新オーナー候補の入札期限は今月11日(月)でしたが、売買任務を担う米国投資銀行「レイン・グループ」によって14日(木)に延期されました。4つに絞られた最終候補たちとクラブのチェアマンであるブルース・バックとディレクターのマリナ・グラノフスカヤとの面談に時間を要していること、プレミアリーグから4候補が基準を満たしているかどうかの認可報告を待っていることが影響していると報じられています。

 すでに明らかになっている候補たちには、ホームスタジアムであるスタンフォード・ブリッジの改修費用など10億ポンドの投資を約束することも条件として通達されましたが、資金力に優劣はなく、ファンの声に耳を傾けながら選定を進めることになりそうです。
 元ブリティッシュ・エアウェイズ会長マーティン・ブロートンと国際陸上連盟会長のセバスティアン・コーが率いるコンソーシアムは有力候補の1つ。ブロートンは12年前にリヴァプールの会長に就任し、米国資本の現オーナー陣への売却を実現した実績を持つ人物。チェルシーファンとして育ったことを公表しており、今回は自らがオーナーになることでブルーズの更なる成長を築きたいとしています。

 資金力ではトッド・ボーリーが率いるコンソーシアムの存在が目立っています。ボーリーはMLBのLAドジャースの共同オーナーを務めるビジネスマン。彼はレアル・マドリード戦の第一戦をスタンフォード・ブリッジで観戦すると同時に、ファングループとのミーティングも実施。ゴールデンシェアと呼ばれる株主総会における拒否権を付与した株式を譲渡する用意がある旨を伝えたそうです。スイスの大富豪ハンスユルグ・ウィスや英国不動産投資家のジョナサン・ゴールドスタインの援助も取り付けており、資金面では優勢に立っています。

 一方、MLBシカゴ・カブスを所有するリケッツ家は、ジョー・リケッツが過去にイスラム教徒に対し差別的な発言をしたとして厳しい情勢であることが判明。今月2日のブレントフォード戦前にはファンが買収反対のデモを行いました。チェルシー・サポーターズ・トラスト(CST)が行った調査では、77%のメンバーがリケッツ家を支持しないと回答しています。80歳になるジョーは今回の買収には関与しておらず、息子のトムが中心となり「チェルシーの遺産を守り成功を築く上での公約」を発表するなど、巻き返しを図っています。

 新オーナーの選定作業は、いよいよ最終段階に入ってきました。


文/西岡 明彦

※電子マガジンtheWORLD268号、4月15日配信の記事より転載

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