Jリーグ屈指のパサー・樋口雄太の日本代表入りはある? 俯瞰的な視野と得点につながるキック精度を持つ男

パスで局面を変えられる樋口雄太 photo/Getty images

F・マリノス戦でも何度も効果的なパスを出した

10日の上位対決、鹿島アントラーズ対横浜F・マリノスの一戦は0-3でホーム鹿島の黒星となった。今季の鹿島は好調であり、リーグ戦では5連勝と素晴らしい成績を収めていたが、終盤にF・マリノスの攻撃についていけなくなり13分間で3失点となった。感じたのは終盤でのチームの総合力の差であり、これからはその問題を考えながら試合を戦う必要がある。鹿島自体は敗戦となったが、中盤の要、樋口雄太のパフォーマンスは光っていた。

サガン鳥栖のユースで育ち、大学を経由して鳥栖のトップチームに入団している。プロ2年目では28試合に出場して自身の地位を確立させ、3年目の昨季は37試合に出場して6ゴール6アシストと素晴らしい成績を残した。今季鹿島に移籍している。

鹿島では開幕戦のガンバ大阪戦からここまで全8試合に出場しており、すでに今季675分プレイしている。

樋口の特筆すべき武器はその正確なパスにある。チームではセットプレイのキッカーを務めるほどの実力の持ち主であり、何本も鋭いボールをF・マリノスのボックス内に供給している。樋口の素晴らしい点はそのキック精度をボールが止まっていない場合でも繰り出せるところと、一瞬で味方を見つけられる視野の広さだ。7本中4本とロングボールの成功率が高く、高いライン設定となっているF・マリノスの最終ラインを何度も脅かしている。

日本代表としてのプレイ経験はない選手だが、このパスは今の代表にはないものだ。世界を経験していないという点ではカタールまでに間に合わないのかも知れないが、今の代表の中盤は人材不足であり、遠藤航、田中碧、守田英正を支えられる控えを探している。候補としては原口元気くらいしか明確な交代選手がおらず、残り2枠に樋口が抜擢されても不思議ではない。前述したパス以外にも、守備での強度の高さや攻守の切り替えの早さはこれまでの鳥栖や鹿島で証明している。

鹿島で欠かせない中盤戦士として輝いている樋口。まだ25歳と若い選手であり、親善試合が4試合予定されている6月のキリンチャレンジカップでの招集の可能性はゼロではない。W杯のような短期決戦では遠藤保仁のようなフリーキッカーが必要で、樋口は代表の力になれるポテンシャルをすでに備えている(データは『SofaScore』より)。

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