大幅なターンオーバーは諸刃の剣? F・マリノスになかった普段の実力と鋭い広島のハイプレス

横浜F・マリノスを率いるケヴィン・マスカット監督 photo/Getty images

広島のハイプレスは驚異的だった

明治安田生命J1リーグ第7節サンフレッチェ広島対横浜F・マリノスの一戦は2-0でホームの広島が白星を手にしている。アウェイのF・マリノスは1-3で敗れた柏レイソル戦から5戦負けなしと好調を維持していたが、終始苦しいゲーム展開となってしまった。

特に苦しかったのはビルドアップの部分だ。序盤は普段通りパスをつなげており、エウベルから右サイドの宮市亮につながるチャンスもあった。しかし、そこからは相手のウイングバックと中盤、3バックのサイドの選手が積極的にプレッシャーを仕掛けており、F・マリノスはそれをかわせず後方でパスミスを連発。低い位置でミスが増えることでショートカウンターを何度も仕掛けられ、34分のシーンではアンカーの喜田拓也のパスミスからボールを失い、最後は森島司の素晴らしいシュートを沈められてしまった。問題はこれを修正できずに時間を経過させてしまったことであり、岩田智輝を中盤に上げて中盤の形をダブルボランチに変えたことで何とかなったが、はじめから[4-2-3-1]の慣れたシステムで見てみたかったことは否めない。

また、誤算だったのは新加入エドゥアルドのパフォーマンスだ。同選手はチアゴ・マルチンスがニューヨーク・シティに移籍したことでサガン鳥栖から獲得された選手であり、開幕前は彼を軸に戦うのだろうと思われていた。しかし、現状では若手の角田涼太朗のほうが安定感がある。このゲームはベンチ外だったが、今後はこの角田を軸にセンターバックの人選を考えるべきか。

これは中盤にも言える。このゲームではアンカーに喜田、インサイドハーフに若手の山根陸と藤田譲瑠チマを並べている。普段はダブルボランチであり、インサイドハーフの若手2人は実力者ではあるが、まだスタメン当確のレベルではない。そういったこともあって中盤が機能せず、エドゥアルドへの負担も大きくなってしまった。喜田はアンカーに慣れておらず、動き回っており、最終ラインのスペースがぽっかり空いてしまうシーンが散見された。F・マリノスの強みは厚い選手層であり、どの選手がスタメンになっても強度を維持できると思われていたが、この広島戦でのパフォーマンスを見る限りではまだそのレベルにはない。特にセンターバックでは角田、最前線ではアンデルソン・ロペスや現在は怪我で離脱しているが、マルコス・ジュニオールがいなければ確実に苦しい展開になる。

16日からACLのグループステージが始まるF・マリノス。全6試合を中2日の過密日程で行うことになっており、ケヴィン・マスカットはここに向けて大幅なターンオーバーを試しているが、ターンオーバーに固執してしまえば必要な勝ち点を落としかねない。

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