[4-3-3]と[4-2-3-1]はどちらがベスト? 日本代表に適したカタール大会で勝てるシステムとは

日本代表はどちらを選択し、カタールに向かうのか photo/Getty images

今後の親善試合からは目が離せない

ベトナム代表との試合も終わり、長かったアジア最終予選が終わった日本代表。選手はこれから所属クラブに戻り、欧州組はシーズン終盤を戦うことになる。

日本代表の日程を見ると、次は6月に集まることになっている。日本サッカー協会がすでに発表しているが、国内でのキリンチャンレンジカップ2022が予定されており、4試合を戦う。対戦相手はまだ発表されていないが、前回のワールドカップ・ロシア大会では直前にパラグアイ、スイス、ガーナと対戦している。スイスとガーナは日本と同じく、カタール行きを決めており、アジア最終予選では体感できなかったレベルの対戦相手とマッチメイクできれば最高だ。

その後は7月にEAFF E-1 サッカー選手権大会2022決勝大会が、9月には代表ウィークがあり、その次にフル代表が集まるのはカタール大会本番となる。E-1は東アジアの頂点を決める大会だが、例年国内組が招集されており、新戦力の発掘は可能だが、フル代表の調整はできない。そのため、日本代表に残された時間は6月のキリンチャンレンジカップと9月の親善試合ということになる。ベトナム戦後にキャプテンの吉田麻也は「9月は直前でぶっつけ本番になる。6月は最後のチャレンジの場として迎えたい」と試合後のインタビューで語っており、6月の4試合で本大会までの指針を決める必要がある。

そこではコンディションの良い新戦力が割って入ってくることになるといえるが、気になるのはシステムを従来の[4-3-3]なのか[4-2-3-1]に戻すのかということだ。

[4-3-3]はホームでのオーストラリア戦から採用しているシステムであり、これで日本代表は6連勝を記録して、カタール行きを決めた。遠藤航がアンカーにいることもあって守備は安定しており、[4-3-3]を採用してから失点は2点しかない。さらに最終節はその遠藤が不在であり、実際は1失点ということになる。もちろん、守備はチーム全体のものだが、アンカーに遠藤を配置するだけで守備力が向上するのは間違いない。しかし、気になるのは攻撃のバリエーション不足だ。基本的に伊東純也のいる右サイドからしか期待感のある攻撃は作れずにいる。アジアではそれでも通用するのだが、伊東が止められればどうするのかという不安は常に付きまとっている。三笘薫という左サイドを攻略できる存在が現れており、右に伊東、左に三笘を配置した攻撃が6月の親善試合でどこまで通用するのかは注目ポイントである。

[4-2-3-1]は日本代表がアジア最終予選の3節まで採用していたシステムであり、ベトナム戦の後半はこの並びを使っていた。日本代表がこの並びをやめたのは、上手く中盤が機能しなかったからであるが、ベトナム戦では田中碧と守田英正がダブルボランチに並ぶことで解決されており、攻撃はスムーズに行われている。また、トップ下が復活したことで後半の短い時間だが、久保建英が攻撃に違いを見せるようになった。彼の狭いエリアでのアイデアは別格であり、上田綺世とのワンツーから相手をはがし、強烈なミドルシュートを放っている。残念ながらゴールとはならなかったが、期待感のあふれる中央からの崩しであったことは間違いない。トップ下が復活したことで右で伊東がドリブルで、中央で久保がアイデアで崩し、左で三笘がドリブルで違いを作れるようになった。攻撃のバリエーションの数が、[4-3-3]と[4-2-3-1]の大きな違いである。しかし、トップ下を採用する分、中盤の数を3枚から2枚に減らしている。アンカーのポジションをなくしたのだ。これによる弊害はほとんどなかったが、これは相手がベトナムであったことが大きい。特に後半はこちらがピンチになることもなく、攻め続けていた。

上記のことをまとめると守備に安定感があるも、攻撃の選択肢不足感が否めない[4-3-3]と攻撃のバリエーションは豊富だが、遠藤というアンカー不在の影響で守備力が低下してしまう可能性のある[4-2-3-1]ということになる。それを6月の4試合で見極めることになるといえるが、強豪との対戦を想定するのであれば安定した守備を見せられる[4-3-3]がベースとなるか。

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