最終予選序盤戦ではスタメンも…… 若手の勢いに飲み込まれてしまった“柴崎岳の逆転劇”はあるか

招集はされるが出番はない柴崎岳 photo/Getty images

次節は出番を与えられるはずだ

若い世代の活躍が目立つ大会だった。最終節ベトナム戦を残しているが、ここまでのアジア最終予選を総括するとそういった感想が出てくるはずだ。最終ラインでは板倉滉、中山雄太が戦力となり、中盤では田中碧が欠かせない選手となっている。攻撃陣では三笘薫がジョーカーとして完全に機能しており、グループB最大のライバルといわれるオーストラリアから短い時間で2ゴールを奪って見せた。ベテランの経験値を信用する采配が目立つ中で、世代交代も行われていた。そんな若手の勢いに飲み込まれてしまったベテランがいる。柴崎岳だ。

鹿島アントラーズで国内でのキャリアをスタートさせ、現在はスペイン2部のレガネスでプレイしている柴崎。今季は27試合に出場して2ゴールと主力として戦っている。

代表内での彼の序列は高かった。アジア最終予選では開幕のオマーン戦から3節のサウジアラビア戦では彼が遠藤航とダブルボランチを組んで先発している。しかし、サウジアラビア戦での痛恨のミスもあってそこからは2回目のオマーン戦を除き、途中出場からの出番が主となっている。今回の代表戦でも招集はされたが、オーストラリア戦では出番がなかった。

残念ながらこの流れは今後、継続されるかも知れない。今の日本代表は[4-3-3]を採用しており、柴崎が出るとすればインサイドハーフだが、オーストラリア戦では田中碧の交代要員として原口元気が選ばれている。彼のパフォーマンスは素晴らしく、消えかけていたエネルギーを中盤に注入してくれた。これが柴崎にできるのかと聞かれれば、できない可能性は高い。柴崎自身そこまで運動量のある選手ではなく、ボールを持った際に本領発揮するタイプだ。また、今回は若い旗手怜央が選ばれている。柴崎同様に出番はなかったが、セルティックでの活躍を見るに、彼がインサイドハーフの2番手として考えられる。

それが明確な序列として浮き彫りになるのは、次節ベトナム戦だろう。日本代表としてはすでにカタール行きを決めており、これは消化試合となる。そうなれば中盤で固定されていた遠藤航、田中碧、守田英正のトリオはいったん解散となり、新しい組み合わせを探す時間となる。柴崎、原口、旗手はインサイドハーフの二つの枠を争うライバルであり、柴崎としては彼ら以上のパフォーマンスを見せなければ厳しい。今回選ばれていない選手にもインサイドハーフの実力者はおり、ベトナム戦で出番があれば柴崎の正念場となるだろう。

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