31歳ともう若くはない
一時はチームを代表するスター選手となってもクラブやリーグを変更すれば、一気に輝きを失ってしまうケースは頻繁に見られており、レアル・マドリードに所属するエデン・アザールも今ではチェルシー時代の輝きを失ってしまっている。
フランスのリールで頭角を現し、イングランドのチェルシーでスター選手の仲間入りを果たしたアザール。止められないドリブルに加え、自身でゴールを奪える得点力、アシストもできるチャンスメイク力とアタッカーに必要な能力をすべて兼ね備えていた選手であり、18-19シーズンには16ゴール15アシストと一人で31得点に関与する働きを見せている。そんなアザールに目を付けたのがスペインの白い巨人ことレアルであり、1億3000万ポンドの高額な移籍金を払い、獲得に成功している。しかし、度重なる負傷によって満足にピッチには立てておらず、今季レアル3シーズン目だが、リーガでのプレイタイムは合計2266分に留まっている。90分換算すると約25試合であり、3年でリーグ戦に25試合分しか出られていないことになる。
イングランドで築いた名声をスペインで一気に崩すことになっているアザールだが、失敗した要因は多くあるようで、一つは食事制限に失敗したための体重増加だといわれている。確かにチェルシー時代はスリムだったが、レアル移籍以降は体が大きくなってしまったようにも思える。
さらにアトレティコ・マドリードからチェルシーにレンタル移籍で加入しているサウール・ニゲスはアザールの失敗についてこう語っている。
「アザールがプレミアにいたときは簡単に世界最高の選手になれていたが、リーガでは困難に直面している。なぜなら、試合が全く違うからだ。プレミアでは1対1や2対1の場面になることが多いが、リーガでは彼の優秀さを皆が知っているからより厳しく対応されることになる」(英『mirror』より)。
このようにサウールはアザールが苦戦している理由を各リーグの守備のやり方だとしている。確かにアザールはチェルシー時代に比べ、レアルでは自力での突破が減っており、怖さがなくなっている。それはサウールが言うところの組織された守備の影響なのだろう。リヴァプールからバルセロナへ移籍したフィリペ・コウチーニョもアザールのように単独で局面を打開する回数が減っており、同様の理由が原因かも知れない。
イングランドのスター選手を悩ませるスペイン特有の守備。アザールは今もなお悩まされており、以前の輝きを取り戻すことはできるのだろうか。