不遇時代を乗り越えキーマンに モロッコの魔術師が見せる本来の輝き

見事なゴールを決め、トッテナム撃破に貢献したツィエク photo/Getty Images

2戦連続ゴール中だ

年末年始は新型コロナウイルスや怪我での離脱者が多く、さらに過密日程も重なり、多くの勝ち点を落としてしまったチェルシー。プレミアでの最後の勝利も12月終盤のアストン・ヴィラ戦まで遡ることになってしまっていたが、24日に行われたトッテナム戦では2-0で白星を挙げ、久しぶりに勝ち点を3ポイント増やすことになった。

そんなゲームでヒーローとなったのは、ここのところ出場機会を増やしているハキム・ツィエクだ。

オランダのアヤックスでは現バルセロナのフレンキー・デ・ヨングや現マンチェスター・ユナイテッドのドニー・ファン・デ・ベークと共にCLで素晴らしい活躍を見せ、2020年にチェルシーに引き抜かれたツィエク。しかし、アヤックス時代の活躍を再現するのは難しく、トーマス・トゥヘル政権ではメイソン・マウントやカイ・ハフェルツの影に隠れるようになってしまった。

だが、前述したように前線で離脱者が続出することになると、ピッチに立つことが増え、プレミアでは3戦連続での先発を掴んでいる。

スパーズ戦では[4-1-4-1]の右ウイングとして出番を得ると、得意の左足からチャンスを創出。枠内シュート4本、キーパス2本と攻撃面で輝いており、先制点となったミドルシュートはウーゴ・ロリスですら触れない素晴らしいコントロールショットであった。さらにツィエクは守備意識も高い。タックル成功数4回は前線でトップの数字であり、献身的な守備ができる現代型のアタッカーとなっている。

2戦連続でのゴールと大仕事をやってのけたツィエクだが、喜ぶのはまだ早いかもしれない。基本的にチェルシーは3バックを採用しており、そうなった場合にモロッコ代表MFが輝くウイングのポジションはない。現在はリース・ジェイムズやベン・チルウェルのようなWBを務められる選手が不在なための応急処置の4バック採用であり、彼らが戻ってきた際に自身の居場所は確立されていないのだ。

ウイングとして自身の攻撃性能の高さを見せるも、トゥヘル監督とのスタイルが致命的に合わないツィエク。実際、怪我人が続出するアクシデントがなければ、今の輝きはなかったかもしれず、今後の動きに注目したい(データは『WhoScored.com』より)。

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