《NEXTデイビス》を探せ 若手が続々欧州でスタメン確保するMLS産タレントが今熱い

次なるブレイク選手と期待されるペピー photo/Getty Images

今の主役は欧州からやってくるスターではなく、自前で育てた若手

以前はアンドレア・ピルロやスティーブン・ジェラード、バスティアン・シュバインシュタイガーらがキャリア終盤にアメリカへ向かうなど、アメリカ・MLSはカタールや中国と同様に引退の近いスタープレイヤーが集結する場所とのイメージがあった。

実際にMLSへズラタン・イブラヒモビッチやティエリ・アンリがやって来たことで、アメリカのサッカー文化は大きく進歩したと言えよう。

ただ、注目すべきはアメリカへやってくるスターばかりではない。近年MLSは興味深い若手タレントを多く輩出しており、アメリカから欧州へ向かう若手も今では珍しくなくなった。
1番の出世株はバンクーバー・ホワイトキャップスからバイエルンへ向かったDFアルフォンソ・デイビスだが、他にも注目したい選手がいる。

例えば今季チャンピオンズリーグ・グループステージ突破を決めたオーストリアのザルツブルクでは、20歳のアメリカ代表MFブレンデン・アーロンソンが躍動。フィラデルフィア・ユニオンのアカデミー出身者であるアーロンソンはザルツブルク注目の若手タレントとなっており、アメリカ代表でもデビューを済ませている攻撃的MFだ。欧州5大リーグのクラブから声がかかるのも時間の問題かもしれない。

ザルツブルクの主力となるアーロンソン photo/Getty Images

ブンデス、セリエAでもポジション確保する者が

ドイツでは、ボルシアMGにて18歳のアメリカ人DFジョゼフ・スカリーが活躍中だ。ニューヨーク・シティFCのアカデミーを出たスカリーは、今年ボルシアMGへ移籍。早くも両サイドバックを中心にリーグ戦15試合に出場していて、アメリカで育ったヤングタレントが5大リーグで即戦力になるとは少々驚きだった。

他にもアメリカのFCダラスからイタリアの名門ローマへ移籍し、すでにセリエAデビューも果たしている20歳の右SBブライアン・レイノルズ、同じくFCダラスよりセリエA昇格組のヴェネツィアへ移籍した20歳のセントラルMFタナー・テスマン、カンザスシティより同じセリエAのヴェネツィアへ移籍した19歳のセントラルMFジャンルカ・ブシオなど、近年はMLSから直接5大リーグへ向かう若きアメリカ人選手が増えてきた。

ヴェネツィアのテスマンとブシオはすでに主力で、アメリカ代表デビューも果たしている。しかも彼らは若いこともあって移籍金が安価だ。

ヴェネツィアが獲得したテスマンは360万ユーロ、ブシオは600万ユーロ、ローマが獲得したレイノルズは675万ユーロ、ボルシアMGが獲得したスカリーは180万ユーロとなっている。

欧州の中堅クラブにとって彼らはコスト面でも魅力があり、即戦力となってくれるならば大きい。今後はますますMLSに目を向ける欧州クラブが増えるはずで、それがアメリカ代表の強化に繋がるのは間違いない。

今年のMLSではダラスの18歳FWリカルド・ペピが13得点を挙げる活躍を見せ、代表の方でも6試合で3得点とブレイク。欧州へ向かう可能性は極めて高く、MLSからまたも楽しみな逸材が羽ばたこうとしている。

この育成力は日本も見習う点があるはずで、やはり20代前半の選手が欧州で経験を積めているのは大きい。今後もしばらくはアメリカから若手タレントが欧州へ向かうケースが増えそうだ。

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