山口智監督が施した“交通整理と意思統一” ベルマーレの攻撃はどう変わったのか 

福岡戦では、右ウイングバックの岡本のランニングも絶妙だった(写真は8月9日の鹿島アントラーズ戦)photo/Getty Images

貴重な勝ち点1をゲット

明治安田生命J1リーグの第29節が18日に行われ、湘南ベルマーレとアビスパ福岡が対戦。

28分にベルマーレのDF大岩一貴が自陣ペナルティエリア内でハンドの反則を犯し、アビスパのFWフアンマ・デルガドがPKのチャンスを物に。ベルマーレはアビスパの堅固な守備ブロックに手を焼いたものの、後半アディショナルタイムに途中出場のFW大橋祐紀がMF三幸秀稔からのロングパスにヘディングで反応し、同点ゴールをゲット。1-1のタイスコアで試合を終えている。

直近のリーグ戦2試合連続で相手チームを上回るボール支配率を叩き出し、今節も敵陣ペナルティエリア内で10本のシュートを放ったベルマーレ。今月1日付けでトップチームのコーチから監督に昇格した山口智氏のもとで、ポジティブな変化を見せている(前節のボール支配率59%、今節67%。データは『SofaScore』より)。

前節の大分トリニータ戦と今節で、ベルマーレは自陣後方からのロングパスを多用。特に相手最終ラインの背後へのパスが多く、今節もタリクと町野修斗の2トップが、このスペースを虎視眈々と狙っていた。

浮嶋敏前監督が植え付けた、自陣後方からのショートパス主体の攻撃をやめたわけではないが、敵陣の深いところへいち早くボールを送り込むことを心がけるのが、山口新監督のカラー。このコンセプトが浸透したことで敵陣でのプレイ機会が増えたことが、新体制下での猛攻に繋がっている。

相手チームが自陣に引きこもり、最終ラインの背後を埋めてきた際には、中央のレーン、大外のレーン、ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)にベルマーレの選手たちが満遍なく立ち、敵陣で小気味良いパスワークを披露。監督交代後の2試合では、[3-1-4-2]の布陣の2トップ、2インサイドハーフもしくはアンカーの田中聡、両ウイングバックが敵陣で横一線に近い状態になることが多く、これにより相手の守備隊形を横に広げたうえで、攻撃を仕掛けることができている。

また、ハーフスペースを狙う動きが山口監督のもとで徹底されており、福岡戦の24分には、右ウイングバックの岡本拓也がここへ侵入。最終的にタリクがペナルティエリア内でシュートを放ったが、岡本もゴールを狙える状況だった。

遅攻時に敵陣のサイドのレーン、もしくは中央のレーンに味方同士が密集しすぎてしまい、故に相手の守備隊形を広げきれない場面があった今季のベルマーレだが、山口新監督の交通整理により、この問題は解決に向かっている。まずは自陣後方から相手最終ラインの背後を狙う、これが通用しない場合は相手の守備隊形を横に広げたうえでハーフスペースを突くという攻撃プランも、新体制下で鮮明になってきた。

監督交代後の初勝利こそお預けとなったが、攻撃の段取りに関して意思統一が順調に進んでいること、貴重な勝ち点1をもぎ取り、J2リーグ降格圏の17位との勝ち点差を“4”に広げたことは、ベルマーレにとって好材料と言える。どこまでリーグ順位を引き上げられるかに注目したいところだ。

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