レジェンドも失望したエース・ルカクの裏切り行為 「守れない約束」はするな

今夏にインテルからチェルシーへ移籍したルカク photo/Getty Images

期待が大きかっただけに……

昨季、絶対王者ユヴェントスのセリエA10連覇を阻止し、11シーズンぶりのスクデットを手にしたインテル。そんなチームを牽引したのがベルギー代表FWロメル・ルカクだ。2019年夏に加入した同選手は、1年目から23ゴール2アシストという素晴らしい結果を残していたが、昨季はそれをさらに上回る大活躍。24ゴール10アシストを記録しており、FWラウタロ・マルティネスとのコンビは、長いセリエA史を見てもトップクラスの2トップといいほどの活躍を見せていた。

圧倒的強さをみせたことで、インテル黄金時代の再来すら予感させた。翌2021-22シーズンにこのインテルが、CLの舞台で躍進やセリエAの連覇へ向けてどれほどの活躍を見せてくれるのか、期待に胸を膨らませたファンも多いだろう。そして、その中心にはもちろん、エースであるルカクの存在もあるはずだった。

しかし、ルカクは今夏にチームを去った。前回加入時のリベンジを果たすべく、古巣チェルシーへの復帰を決断した。インテルファンにとっては非常に複雑な心境だろう。なぜなら、ルカクは今夏にチームを去っていった他の人たちと状況がやや異なるからだ。
チームの指揮官を務めたアントニオ・コンテ監督が退任し、1年目から抜群のスピードで存在感を示していたDFアクラフ・ハキミもPSGへ移籍した。インテルは今夏、オーナー会社の経営状況の影響で退団が相次いだ。これらは彼らが退団を強く望んだというよりも、どちらかといえばクラブ事情によって放出せざるを得ず、やむを得ない状況だったといっていいだろう。

一方で、ルカクに関しては「インテルは残留に動いている」という報道が多くなされてきた。さらに、ルカク自身も今年6月に母国メディアの前で「僕は残る。新しい監督とも連絡を取ったよ。ポジティブだった。新しい挑戦もあるし、インテルでいい気分なんだ」と残留を明言していた。しかし、急転直下の移籍劇。こういった状況もあり、この移籍に関して裏切られたと感じたり、大きな失望の念を抱いたりしたファンも少なくないのではないか。

実際のところ、ルカク本人が退団を望んだのか、それとも超高額な移籍金に目が眩んで経営陣が考えを改め直したのか。クラブ内部でどのように話を進めてきたのかわからないため、真実は不明だ。ただ、インテルで主要タイトルの3冠も経験しているレジェンドの元アルゼンチン代表FWディエゴ・ミリート氏も、伊『Gazzetta dello Sport』のインタビューで「絶対にやるべきではないことが1つある。それは守れない約束をすることだ。彼のような多くのものをもたらした選手は、他の場所へ行くかどうか決める権利がある。しかし、多くのファンは彼の発言(残留宣言)に対して、間違いなく失望しただろう」と述べている。

期待が大きかったぶん、やはり失望も大きいか。それだけ彼の昨季の活躍はスーパーなものだった。ただ、ずっと後ろを向いてはいられない。インテルはすでにエディン・ジェコという新たなストライカーのもとで走り出しており、結果でファンを少しでも安心させたいところだ。

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