橘田、遠野、宮城…… なぜ川崎フロンターレに続々とニュースターが現れるのか

川崎の後半戦のキーマンとなりそうな橘田 photo/Getty Images

フロンターレの未来はまだまだ明るい

川崎フロンターレは9日、明治安田生命J1リーグ第23節で大分トリニータと対戦し、2-0の勝利を収めた。この試合でも選手層の厚さを存分に発揮している。

MF田中碧が今夏に海外挑戦を決断し、FW旗手怜央とMF三笘薫は東京五輪出場による休養。さらに、先の天皇杯でMF大島僚太が再び負傷して離脱しており、FW小林悠の復帰もまだとなっている。王者・川崎は多くの選手を欠く中で、リーグ戦の再開を迎えた。この状況に少々不安を覚えたファンもいたのではないか。しかし、この大分戦はここまで13ゴール8アシストの活躍を見せるFWレアンドロ・ダミアンの負傷交代を除けば、むしろフロンターレの未来に深い安堵を覚える試合となったかもしれない。

まず大きいのが、ACLから本格的に頭角を現してきたMF橘田健人の存在だ。中間ポジションを取るのがうまく、狭いスペースでもボールを受けることを全く怖がらない橘田。川崎のMFであれば当然のことだろうが、ボールを受けたら最初に前を向こうとする姿勢も素晴らしい。Jリーグにも中盤でボールを受けられる選手は多くいるが、この前への姿勢があるか、ないかでは、相手への脅威が違う。決して体格に恵まれているわけではないが、相手の力をうまく利用して華麗にターンする姿は、先輩・大島の姿と重なる部分がある。
また、橘田は豊富な運動量で攻守にわたって相手を掻き乱す。攻撃面では相手陣内の最深部まで侵入してクロスを上げる場面があり、守備面では素早いトランジションで即時奪回を見せる。チームの勝利のためにハードワークを厭わないのだ。実際、大分戦でもこういった献身性がいく度となく見られ、両チーム最長となる「11.840km」の走行距離を記録していた。

そして、大分戦では途中出場となったが、前への推進力が素晴らしいFW遠野大弥とFW宮城天の存在も忘れてはならない。遠野はゴールへの意識が人一倍強く、この試合でもピッチに立ってすぐにゴールをゲット。そのキッカケを作ったのが宮城のドリブルであり、途中出場を果たした選手がきっちり結果を残す川崎の強さは、今季も健在である。

遠野はパンチ力のあるシュートに力強いドリブルも魅力で、今後もゴールという結果で期待に応えてくれるだろう。一方の宮城は、三笘の海外挑戦が発表されたこともあり、大きな期待を寄せているファンも少なくないのではないか。三笘は「静→急」のドリブルが売りなのに対し、宮城はどちらかというとスピードに乗っているところから鋭い切り返しなどで相手を振り切る「急→静」のドリブルが武器の印象。三笘とはまた異なるが、個の力で局面を打開できるドリブラーで、足もとの技術を含めてかなりのポテンシャルを秘めていると言っていい。

周りの選手たちも、うかうかしていられないのではないか。ただ、鬼木達監督や選手たちも常々言っていることだが、普段のトレーニングから全く気が抜けないこの競争力こそが今のフロンターレの強さであり、フロンターレに続々とニュースターが現れる理由だろう。川崎の黄金時代はまだまだ続いていきそうだ。

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