バロンドール候補も8年前は3部でプレイ カンテが下積みで築いた自らの武器

30歳でビッグイヤーを獲得したカンテ photo/Getty Images

レスターとチェルシーでプレミア王者も経験

今季のチェルシーのUEFAチャンピオンズリーグ制覇に大きく貢献したのが、エンゴロ・カンテだ。無尽蔵のスタミナを武器に幅広い守備範囲をカバー。世界有数のボール奪取能力を誇る彼の活躍なくしてはビッグイヤー獲得は成し遂げられなかっただろう。

彼は現在30歳を迎える。世界トップの選手となったカンテだが、フランスでの下積みは長かった。シュレンヌのアカデミーで育ち、2011-12シーズンにブローニュでトップチームデビューを果たす。当時リーグ・ドゥ(2部)を戦い、19位で終わったチームは3部へ降格。チームに残留したカンテは、3部で主力として活躍した。その後2部のカーンに移籍。レギュラーを勝ち取り、2013-14シーズンにチームを1部昇格へと導いた。

1部でも試合に出続けると、2015年8月にレスター・シティへと移籍を果たす。初のイングランド挑戦ながら、リーグトップのタックル数「175」を記録。レスターのプレミアリーグ初優勝の立役者となった。翌年にチェルシーへと加入。ビッグクラブでも自らの持ち味を存分に発揮してリーグ優勝に貢献。個人での2年連続リーグ優勝を果たした(データはプレミアリーグ公式より)。
FIFAワールドカップロシア大会では、メンバー入りを果たして7試合に出場。見事優勝を成し遂げ、世界一のトロフィーも獲得した。そして今季、トーマス・トゥヘル監督の下でCL制覇を達成。ビッグイヤーを掲げ、バロンドールの候補にも挙げられるほどの存在となった。

フランスの3部でプレイしていた若きボランチは、8年後に欧州王者へ導く中盤へと成長した。ブローニュ時代にプレイしていた頃は、想像もしていなかったかもしれない。ただ彼の豊富な運動量と高い守備能力は、その頃に育まれていった。昨季はプレミアで22試合の出場にとどまったが、それ以外ではブローニュ時代からリーグでの試合出場は、30を超える。毎年けがもなくフルシーズン戦えるスタミナは、長い下積みによって築き上げられたのかもしれない。

CL優勝で今季のバロンドール候補にも挙げられるカンテ。2シーズン前にはフランス代表でW杯を制し、今季は世界一とも言われる選手が8年前には3部を経験していた。今の3部を戦っている選手にも未来のバロンドール候補がいるかもしれない。若くして活躍しても、それを維持できる選手は少ない。3部時代から試合に出続けることで、驚異的なスタミナや高いボール奪取能力が身についた。長い下積みも、将来の活躍へとつながる基盤であることをカンテは証明している。

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