“PSGの心臓”に求められるもう一歩上への進化 悲願のビッグタイトルを手にするために

今やPSGの最古参となっているヴェッラッティ photo/Getty Images

スコアに直結するような仕事を

19歳でサッカー大国イタリア代表のA代表デビューを飾り、「若き天才司令塔」と呼ばれたMFマルコ・ヴェッラッティも、今年29歳の誕生日を迎える(1992年11月5日生まれ)。長きにわたりパリ・サンジェルマンを牽引し、同クラブの黄金期を築くとともに、今や欧州を代表するMFへと成長した。

これまで獲得したタイトルは、プロキャリアをスタートさせたぺスカーラでのセリエBの優勝(2011-12)から始まり、9年間プレイするPSGでは7度のリーグ制覇を含めて、その数は優に「20」を超える。昨年は、念願であった欧州最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグ・決勝のピッチにも立った。イタリア代表としても40キャップを誇る。様々な個人タイトルも獲得してきた。しかし、ヴェッラッティは未だにビッグタイトルのトロフィーを拝むことはできていない。

中盤でのパス回しでリズムを作ったり、高いキープ力でチームを落ち着かせたり、素早いトランジションで守備に貢献したり……。豊富な運動量を活かしたボックス・トゥ・ボックスのプレイで、PSGでもイタリア代表でも、ヴェッラッティは大きな存在感を放っている。怪我がちなところや審判にやや突っ掛かりすぎなところに対しての不満や失望はあるかもしれないが、まるでMFのお手本のようなこのプレイスタイルにこういった感情を抱いているファンは、ほとんど居ないのではないか。

しかし、CLやW杯といったビッグタイトルを獲得するためには、上記のこと以外にもスコアに直結するような、自分でも勝負を決めるような仕事も必要となってくるのかもしれない。キーパスなども含めてこういったプレイがないわけではないが、数字を見ても、ヴェッラッティの今季の成績はリーグ戦とCLともに2アシストずつで、0ゴール。PSGではゴールから2年以上も遠ざかっており、リーグ戦に限っていえば4年前の2017年5月バスティア戦(2016-17シーズンの第36節)が最後だ。これでは少々寂しい。

もちろん、チームのバランスやチーム内での自身の役割を考えての現在のスタイルだろう。ただ、スコアを動かせるような仕事ができるようになることに越したことはない。様々な点において高い技術を持つヴェッラッティは、それができるだけの素質は備えている。イヴァン・ラキティッチやトニ・クロース、ルカ・モドリッチ、さらに遡ればフランク・ランパードやシャビなどがいい例か。サッカー選手にとって28歳という年齢は最も脂が乗っている時期であるとともに、ベテランに差し掛かる大事に時期でもあり、キャリアにおいて大きなターニングポイントを迎える可能性もある。そんな時期に、ヴェッラッティはもう一歩進化が求められているのかもしれない。

「ヴェッラッティはゴールもアシストもほとんど生まないし、チームを変えることができるピルロのような選手でもない。私から見れば、ビッグマッチや重要なゲームにおいて、ジョルジーニョの方がはるかに有能で、決定的な仕事ができる。ジョルジーニョは賢いからね。それに比べて、ヴェッラッティはほとんど試合の流れを変えられないし、ロングボールすら通せない……。ゴールに向かってシュートを打とうともしないんだよ」

これは、現役時代にローマやレアル・マドリード、ミラン、インテルなど、数々のビッグクラブを渡り歩いた母国の大先輩であるアントニオ・カッサーノ氏のヴェッラッティに対するコメントだ(伊『calciomercato.comより』)。普段から辛口な同氏だけあって、非常に厳しい評価が並べられているが、スコアに直結する部分で今のヴェッラッティに物足りなさを感じているに違いない。

PSGとの契約を2024年まで残しているヴェッラッティ。同クラブの悲願であるビッグイヤーの獲得には、チームの最古参でもあるこの男の今後の進化にかかってると言っても過言ではないかもしれない。そして、その進化は復活を目指すイタリア代表にも還元されることだろう。

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