今季のセリエAで10連覇を目指すユヴェントスだがアンドレア・ピルロ率いるチームが苦しんでいる。27試合を終えた段階で首位インテルとの勝ち点差は10と、逆転優勝が遠のきはじめている。
前任者であるマウリツィオ・サッリの解任を受けて、もともと決定していたユヴェントスのU-23監督からトップチームに電撃就任したピルロ。1年目で欧州最高峰クラブの監督を任される重圧のなか、アントニオ・コンテやステファノ・ピオリといった経験豊富な指揮官によってチームを作り上げてきたインテルやミランの後塵を拝する形となってしまっている。
今シーズンはイングランドでも経験が浅いレジェンド監督について是非が問われる出来事が起こった。2019年にチェルシーの指揮官に指名されたフランク・ランパードが今季は大型補強を敢行しながら大苦戦。1月25日に電撃解任されてしまったのだ。
ピルロとランパードは現役時代、イタリアとイングランドでその名を轟かせた世界的な名手だった。ピルロはミランやユヴェントス、ランパードはチェルシーに数々のタイトルをもたらし、クラブにとっては歴史を作った功労者である。
そんな2人が経験が浅いままクラブのレジェンドとして監督に指名され、苦戦を強いられることになってしまった。ピルロは解任はされていないものの今シーズンのユヴェントスではチャンピオンズリーグの舞台でもラウンド16で姿を消しており、リーグ優勝のタイトルも逃せばその責任についても議論が出てくるだろう。
ランパードは2018年にダービー・カウンティの監督を務めたものの、翌年にチェルシーの監督として経験が浅いままその手腕が試されることになってしまった。もともと予定されていたユヴェントスのU-23からいきなりトップの監督に指名されたピルロにしてもそうである。
ビッグクラブを率いる指揮官にとって現役時代の実績やカリスマ性は重要な部分もある。スター選手が揃うクラブで彼らをマネジメントする役割として、ピルロやランパードのようなレジェンドの存在が求心力につながる場合もあるからだ。
しかし、あまりに計画性を欠く早期のレジェンドの監督就任はクラブにとっても監督としてもその後のプランを狂わせかねない。バルセロナではシャビ・エルナンデスを時期監督に推す声が近年高まっているが、そのタイミングはしっかりと見極めるべきだろう。
ピルロやランパードの苦戦で是非が問われるレジェンドの監督就任。ビッグクラブで起こりうるこの問題について各々のクラブにかかる責任はこれからも大きなものとなるだろう。