名将ジョゼップ・グアルディオラには、なかなか超えられない壁がある。それは、自身が指揮したバルセロナを超えるチームを作り出すことだ。
グアルディオラは2008年から4年間バルセロナを指揮し、リーガ・エスパニョーラ3連覇やチャンピオンズリーグを2度制するなど、黄金チームを完成させることに成功した。これで一気に名将の評価を得たわけだが、その後はバルセロナの亡霊に苦しめられる監督キャリアになっている。
バイエルンでもブンデスリーガを3度制したものの、チャンピオンズリーグ制覇は果たせなかった。それは現在指揮するマンチェスター・シティでも同じだ。リオネル・メッシがいなければチャンピオンズリーグを制覇できないのではないかとの批判まで浮上するようになり、バルセロナ以外のクラブでチャンピオンズリーグを制することはグアルディオラにとって1つの目標になっているはず。
では、今季のマンCならどうだろうか。興味深いことに、グアルディオラはマンCでバルセロナ時代を超える勝率を残している。バルセロナでは247試合を指揮して179勝47分21敗。勝率は72.47%だった。
対して現在指揮するマンCでは268試合を戦って195勝36分37敗。勝率は72.76%となっており、僅かながらバルセロナ時代を上回っている。バイエルンでは75.16%の勝率を残しているものの、試合数は161試合とやや少ない。また、バイエルンの1強に近いブンデスリーガでの戦いをリーガ・エスパニョーラやプレミアリーグと同等に語るべきなのか疑問もある。
特にプレミアリーグは優勝候補とされるクラブが複数存在し、優勝争いの激しさはリーガ・エスパニョーラをも上回ると言っていい。その中でバルセロナ時代を超える勝率を残しているのは素直に評価すべきだろう。
今季は序盤戦こそ躓いたが、今では抜群の安定感を武器に白星を重ねている。特定のアタッカーに頼ることもなく、チーム全員での攻撃と守備が機能している印象だ。このまま今季のプレミア、さらには決勝まで進んでいるカラバオ杯、準々決勝まで進んでいるFA杯、そしてチャンピオンズリーグを制覇できれば、勝率を含めマンCがグアルディオラ史上最強のチームと言っても大袈裟ではないかもしれない。
全てのカギはチャンピオンズリーグにあるが、今の勢いを維持して欧州の頂点に立てるのか。今季はエースのセルヒオ・アグエロも離脱が続いているが、それを感じさせない驚異的な集団へと進化している。