“4カ月ぶり”の出場から一気に大逆襲へ チェルシーの30歳に復活の予感

約4カ月ぶりの出場となったバーンリー戦でいきなりゴールを決めたM・アロンソ(右) photo/Getty Images

左WBでなら輝けるはず

実に4カ月という長期間、公式戦から遠ざかっていたレフティーが久しぶりの先発出場でさっそく新監督の期待に応えてみせた。そのレフティーとは、チェルシーに所属するDFマルコス・アロンソ(30)。フランク・ランパード前監督の下ではなかなか出場機会を得られなかった同選手だが、トーマス・トゥヘル監督の就任2試合目となったプレミアリーグ第21節バーンリー戦で鮮烈なパフォーマンスを披露している。

スタメン発表時、この男がメンバーに名を連ねていることに驚いたファンは少なくなかったことだろう。なにしろ、前述した通りM・アロンソは4カ月ぶりの公式戦出場。人々が彼の試合勘を心配するのも無理はなかった。

しかし、結果としてこのM・アロンソ抜擢は当たった。トゥヘル監督の下で3バックを採用し始めたチェルシーにおいて、左ウイングバックとして先発したレフティーは90分間を通してのびのびとプレイ。試合終了間際の84分には、左サイドからFWクリスティアン・プリシッチが供給した浮き球のパスを胸で受けると、腿でコントロールしたボールをそのまま豪快なボレーで相手ゴールに突き刺した。この試合におけるM・アロンソのパフォーマンスは、トゥヘル監督の起用に応える素晴らしいものだったと言っていい。この調子を継続できれば、彼は再び安定した出場機会を得ることも可能だろう。
トゥヘル監督の就任によって、チームのスタイルが変わったこともM・アロンソにとっては追い風だ。新指揮官は初陣となった前節ウォルバーハンプトン戦から、ポゼッション重視のサッカーを打ち出している節がある。まだ判断材料は少ないが、この2試合でチェルシーが記録した平均ボール支配率は75.5%(前節:79%、今節:72%)。このスタイルをトゥヘル監督が今後も継続していくならば、スペイン人らしく足元の技術に優れたM・アロンソは非常に重要なピースとなることだろう。現時点で左センターバックを任されているアントニオ・リュディガーの少々不安な左足のキック精度を補うためにも、彼の存在は大きい。

加えて、左サイドバックではなく、左ウイングバックというポジションを得たのもM・アロンソの評価回復へはプラスに働くはずだ。このポジションを任されることによって、M・アロンソは自慢の攻撃性能を存分に活かすことができる。3バックの採用によって、彼が上がった際に生じるスペースもスピードのあるリュディガーがある程度カバーできるようになったのだ。それに伴い、M・アロンソはバーンリー戦の得点時に見せたような中央に侵入する動きもしやすくなった。高いクロス精度だけでなく、強烈なミドルシュートも持つ彼にとって、このWB起用は恩恵だらけと言えるだろう。

4バック時には少しその守備力に不安が残る部分があったものの、3バックでならばM・アロンソは最高級のパフォーマンスを発揮することができる。それはアントニオ・コンテ監督時代にも証明していたことで、彼の爆発的な攻撃力はSBよりも少し高い位置で存分に活きる。はたして、久しぶりの出場でさっそく結果を残した男は、今後チェルシーで再び重要な存在となれるのか。圧倒的な攻撃力を備えたレフティーの逆襲が始まる予感がしてきた。

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