今季ここまでリーガ・エスパニョーラで最も試合消化が少ない(18試合)ものの、現在2位レアル・マドリードと7ポイントもの差をつけて首位に立つアトレティコ・マドリード。シーズンも後半戦を迎え、いよいよ赤白軍団の2013-14シーズン以来となるリーグ制覇が現実味を帯びてきた。2019年夏に大幅な重力の入れ替えを行うも、そこから1年半で見事リーガの頂点を目指せるチームを作り上げたディエゴ・シメオネ監督。その手腕はやはり確かなものがある。
そんなアトレティコのなかで、今季最も注目すべき選手は誰か。昨夏加入して以降着実に得点を積み重ねるFWルイス・スアレス、今季ついに一人立ちした印象があるFWジョアン・フェリックス、前線へのコンバートで一皮剥けたMFマルコス・ジョレンテ……。多くの人が思い浮かべるは、こうしたインパクトあるキャラクターを備えた選手かもしれない。
しかし、アトレティコは今季ここまでリーグ最少失点「8」を誇る。同クラブが現時点でリーガ首位を快走することができているのは、間違いなく守備の部分が大きい。そういった観点からしてみれば、最終ラインで渋く輝く30歳も見逃せない。今季ここまでリーグ戦16試合に出場し、チームの堅牢な守備を支えているモンテネグロ代表DFステファン・サビッチだ。
サビッチもまた2020-21シーズンのアトレティコにおける最重要人物として挙げることができるだろう。スペイン『MARCA』も、そんなサビッチの安定した活躍ぶりには「これまでは怪我がちだった男も、今季ようやく議論の余地がない絶対的なCBになった。そこまで注目はされる存在ではないが、先発から外れることは考えられない選手」との称賛を送っている。
スタッツを見れば、彼がアトレティコの鉄壁の守備を支えていることは一目瞭然だ。ここまでチームトップの空中戦勝利数(38回)やインターセプト数(21回)、同2位となるクリア数(53回)を記録。昨季までは負傷による離脱が目立ったものの、今季の彼はフル稼働で最終ラインに君臨し続けている。2020-21シーズンのサビッチに、選手として一回り大きくなった印象を抱いているファンも少なくはないはずだ。
スペインで7シーズンぶりの頂点を狙う好調アトレティコに欠かせぬ最終ラインの“いぶし銀”。注目はどうしても華やかなアタッカー陣に集まりがちだが、30歳の守備者が披露する渋い仕事も見逃せない。