序盤戦の好調から打って変わり、苦しい状況に追い込まれているチェルシー。彼らには何が足りないのか。
プレミアリーグ第19節終了時点でチェルシーは、8勝5分6敗の勝ち点「29」で暫定8位に沈む。特に昨年12月以降は上位陣との直接対決などにことごとく敗れ、直近8試合は2勝1分5敗と、7ポイントしか積み重ねることができていない。得点数は「33」、失点数は「23」。この数字は上位陣に引けを取らないものだが、上位を争うチームと明らかに異なる点があった。
それは絶対的なスコアラーやチャンスメイカーの存在だ。リヴァプールにはモハメド・サラーや(13ゴール)アンドリュー・ロバートソン(5アシスト)、マンチェスター・ユナイテッドにはブルーノ・フェルナンデス(11ゴール7アシスト)、マンチェスター・シティにはケビン・デ・ブライネ(10アシスト)、トッテナムにはハリーケイン(12ゴール11アシスト)やソン・フンミン(12ゴール6アシスト)、レスターにはジェイミー・バーディ(11ゴール)らがいる。一方で、チェルシーにはゴールに直結する仕事ができる「絶対的な選手」がいない。現在のチェルシーには若手が多く、経験値の少なさによるものも大きいだろう。ここまで最もゴールを決めているのはタミー・エイブラハムで6ゴール、アシストはベン・チルウェルで4アシストだが、いずれもゴールとアシストのランキングでプレミアリーグのトップ10にすら入ることができていないのだ。
英『Daily Mail』などによると、チームの指揮官を務めるフランク・ランパード監督も先日の記者会見で「このチームにはポテンシャルはある」や「選手たちは成長過程にある」としながらも「我々には、このクラブにかつていたような試合に勝たせてくれるゴールマシンやアシストマシンがいない」と述べていた。
ディディエ・ドログバやジエゴ・コスタといったストライカー、セスク・ファブレガスやウィリアンといったチャンスメイカー、ゴールとアシストの両方を量産できたランパードやエデン・アザールのような万能MF……。確かにチェルシーが再び覇権を争うようになった2000年代中盤以降は、ここぞというときに頼りになるストライカーやチャンスメイカーが時代時代に存在していた。
1人の選手に依存するのではなく、さまざまな選手がゴールを奪えているといえば聞こえはいい。しかし、1点が勝敗を左右するような試合や優勝争いを行う上では、絶対的なストライカーや一本のパスで流れを変えられるようなチャンスメイカーは必要だ。地元ではランパード監督の解任が大きく騒がれているが、チームを背負えるような絶対的な選手の存在は、現体制を続行したとしても、新たな体制を迎えたとしても今後のキーになってくるに違いない。ポテンシャルを秘めた若手や新戦力の覚醒を待つのもいいが、冬の移籍市場で経験のある絶対的な選手を補強するのも一つの手か。レアル・マドリードで苦しんでいるアザールをなんとかして呼び戻すなんてのも面白いかもしれない。