セリエAで冴え渡る“いぶし銀”の吉田麻也 2022年W杯へ、移籍は大正解だった

サンプドリアで出番を得る吉田 photo/Getty Images

経験を活かした守備はイタリアでも通用する

今の日本代表でポジティブな要素に挙げられるのが、2人のセンターバックがセリエAでハイレベルな戦いを経験出来ていることだ。ボローニャで伸びている冨安健洋、サンプドリアで出番を得ている吉田麻也の2人は、日本代表でも守備の要だ。数年前は弱点と言われていたセンターバックの選手が2人も欧州5大リーグで戦えているのは非常に大きい。

吉田の場合はサウサンプトンで長らく活躍していたが、昨季前半戦は出番を失っていた。2020年の1月にサンプドリアへの移籍を選んだのは正解だったと言える。2022カタールワールドカップを目指す日本代表において吉田は絶対的なディフェンスリーダーであり、吉田が所属クラブで出番を確保できない場合はピンチだ。ひとまずサンプドリアで出番が増えたことはポジティブだ。

ここまでのパフォーマンスも悪くない。サンプドリアの最終ラインをまとめるのは30歳のイタリア人DFロレンツォ・トネッリで、同選手がディフェンスリーダーなのは間違いない。しかし、吉田も信頼できる相棒候補の1人だ。現在はその相棒の座を吉田とオマル・コリーが争っている。

冨安の方もボローニャで活躍中 photo/Getty Images

読みの鋭さはさすが

トネッリは183cmと大柄な方ではないものの、チームで2番目に多い30回の空中戦勝利数を記録するなど対人戦も悪くない。クリア回数も61回と、ダントツでチームトップだ。指揮官クラウディオ・ラニエリが信頼するのも頷ける。

対して吉田は空中戦勝利数が9回とやや寂しい。しかしながら、相変わらず読みが鋭い。得意のインターセプトではチーム2位となる23回を記録しており、トネッリの9回を大きく上回る。吉田のインターセプトからゴールに繋がったプレイもあり、縦パスへの反応は優れている。

さらにシュートブロック数も7回でチームトップタイだ。最後の部分で体を張ることが出来ており、長年の経験を活かしたブロックは頼もしい。

また今季は右サイドバックを任される機会もあるが、これも足下の技術があるからだ。吉田はトネッリより200分ほどプレイタイムが少ないが、パス本数はトネッリが454本に対して吉田が419本とあまり開きがない。パス成功率もトネッリが78.9%なのに対し、吉田はチーム3番目に高い85.4%を記録している。この技術も吉田の魅力の1つだ。

このまま冨安と吉田が欧州5大リーグで出番を確保し続けることができれば、日本代表にとっては大きなプラスになるだろう。吉田にとっては2022カタールワールドカップがキャリア最後のワールドカップとなる可能性があり、何とか史上初のベスト8入りを達成したいところ。

サンプドリアで出番を守っていけるのか。通用している部分も多く、2021年もさらなる活躍に期待したい。(データは『WhoScored.com』より)

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