2015年にガンバ大阪でデビューを果たし、2年後の2017年夏にはオランダのフローニンヘンへ移籍。さらにその2年後の2019年夏には同じオランダの名門PSVへ移籍と、日本代表MF堂安律は非常に理想的なキャリアを送ってきた。
2年ごとにステップアップを果たし、2018年には日本代表デビューも経験。経歴だけを見れば、ガンバでデビューしてからは大きな壁にぶつかってこなかった印象がある。
しかし、PSVでは挫折を味わった。PSVを踏み台にビッグクラブを目指そうと考えている若者は堂安だけではなく、チームにはFWドニエル・マレンやコーディ・ガクポ、モハメド・イハッタレンなど優秀なアタッカーが揃っている。結果的に堂安はこのポジション争いに敗れたのだ。
今夏にはブンデスリーガのアルミニア・ビーレフェルトにレンタル移籍することになり、PSVでの1年間は明らかな失敗だ。欧州5大リーグでプレイするチャンスは得たものの、本来はアルミニア・ビーレフェルトより大きなクラブでプレイする姿をイメージしていたはず。
日本代表の方でも森保ジャパン期待の若手アタッカーの1人と評判だったが、A代表では20試合に出場して3点しか決めていない。最後にゴールを決めたのは昨年1月のアジアカップ・ベトナム戦であり、それもPKだった。代表デビューを果たした頃に比べると、日本のサッカーファンから実力を疑問視される機会も増えた。
アルミニア・ビーレフェルトでは早い段階からポジションを掴んでいるため、アピールするだけの時間はたっぷりと用意されている。PSV時代に比べると攻撃の機会は限られるが、アルミニア・ビーレフェルトで継続的に結果を出し続けるしか評価を取り戻す術はない。
オランダ『Voetbal Primeur』は「堂安にまだPSVでの未来はあるか?」とアンケートを取っているが、68%のサポーターはNoと答えている。アルミニア・ビーレフェルトでのパフォーマンスはまだPSVサポーターの心に届いていないのだろう。
果たして堂安はアルミニア・ビーレフェルトで再び評価を取り戻せるのか。ブンデスリーガではフランクフルトの鎌田大地が結果を出しており、リーガ・エスパニョーラの方では堂安と同じレフティーのビジャレアル所属MF久保建英も苦しみながらも奮闘している。日本代表の2列目争いも激化していくはずで、堂安も今のままではポジションが怪しい。
アルミニア・ビーレフェルト行きはプロキャリアの中で初めてに近い大きな挫折と言えるが、今季どこまで数字を伸ばせるのか注目したい。