マンCとバルサにあった“200万ユーロ”の溝 19歳の古巣復帰が潰えた理由

バルセロナへの移籍が噂されていたガルシア photo/Getty Images

わずかな差が移籍に影響

結局、今夏マンチェスター・シティの若き守備者が元いたクラブへの帰還を果たすことはなかった。昨季終わり頃からバルセロナへの帰還が噂されていたDFエリック・ガルシアだが、最終的にはシチズンズにとどまることとなっている。

移籍はほぼ規定路線。本人も下部組織時代を過ごしたバルセロナへの復帰を望んでいる。一時、現地ではそんな報道もなされていた。ほぼ確定事項のようにこの移籍話を扱うメディアもあったのだが、一体なぜガルシアのバルセロナ移籍は実現しなかったのだろうか。

その理由を英『Manchester Evening News』も考察しているが、やはり移籍金の額について両クラブの考えには相違があったという見方が現地では強いようだ。同メディアによると、バルセロナがマンCに提示していたガルシアの獲得に関するオファー額は1800万ポンド(約24億5000万円)。しかし、マンCは最低でも2000万ポンド(約27億円)からしか交渉に応じない構えを見せたようで、最後までその溝は埋まらなかったようだ。
たった200万ポンドの溝。そう感じる人も少なくないだろうが、今夏ロナルド・クーマン監督の下で大改革を敢行したバルセロナにとっては1800万ポンドがガルシアのために投資できる限界の額だったという。実際、現地時間5日にバルセロナが公開した財務報告書によると、彼らは新型コロナウイルスの影響で2019-20シーズンに約120億円もの赤字を被っている。パンデミックによる大減収の最中、24億円強を捻出できただけでもよくやった方だろう。

一方のマンCはチームの保険と現金のどちらが今大切かを天秤にかけ、前者を選んだ格好だ。アブダビ王族を後ろ盾として、資金についてはそこまで困っていなかったマンC。そんな中で、わざわざ値引きをしてまでガルシアを現金化する必要は全くない。まして、ガルシアは昨季枚数不足に陥ったチームの最終ラインを救った期待の若手だ。今季も守備力が懸念点とされる中で、彼をみすみす放出する手はない。適切な額のオファーをバルセロナが提示してくれば話は違ったかもしれない。しかし、彼らが最低ラインにも届かぬ金額しか提示できなかったことで、売却の可能性は完全に消滅したと言っていい。

たった200万ユーロ、されど200万ユーロ。ガルシアが移籍を望んでいたかどうかは不明だが、はたして今夏の結果はこの若者の将来にどのような影響を及ぼすこととなるのだろうか。今夏マンCは最終ラインにルベン・ディアスやネイサン・アケといった実力者を補強したが、あの時バルセロナに移籍していればよかったなどと思われないようなパフォーマンスに期待したいところだ。

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