[西岡明彦]レアルの余剰人員、2人揃ってのプレミア復帰なるか?

プレミア最強ガイド 069

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 新型コロナウイルス感染症の猛威によって、欧州サッカーシーズンのカレンダーは複雑なものになっています。シーズン開幕と移籍市場が同時進行で動いていく中、選手の移籍交渉も佳境を迎えています。

 レアル・マドリードは世代交代と戦力アップを図るため、2選手の放出を画策しました。まず、29歳のコロンビア代表FWハメス・ロドリゲスのエヴァートンへの移籍が決定しました。2014年のブラジルW杯で得点王に輝き、モナコから加入したハメスでしたが、“白い巨人”では満足な結果を残すことができず、バイエルンへ2年間のローン移籍を受け入れました。2019-20シーズンはレアルに復帰したものの、わずかリーグ戦8試合1得点しか結果を残すことができませんでした。

 移籍先となったエヴァートンには信頼してくれる恩師の存在があります。かつてレアルでも、バイエルンでも師弟関係だったカルロ・アンチェロッティ監督がハメスの獲得を望んでくれたのです。オプション付きの2年契約、当初は違約金2000万ポンドと報じられていましたが、『BBC』によるとレアル側が減額を受け入れ、1200万ポンドで商談が成立したと見られています。ハメスにとって、かつての輝きを取り戻す条件は整ったと言えます。
 難題はもう一人の余剰人員です。ウェールズ代表MFのガレス・ベイルの移籍交渉はなかなか進展していません。31歳となったベイルとレアルの契約はあと2年、2022年まで残っています。昨季のリーガでは16試合出場2得点、在籍7シーズンで最も不本意なシーズンに終わりました。ジネディーヌ・ジダン監督の構想からも外れクラブは新天地を探していますが、金銭的なハードルがあまりにも高い障壁となっています。

 ベイルの年俸は推定で手取り1450万ユーロ、税金を含めたクラブの負担額は2年で6000万ユーロになると言われています。代理人のジョナサン・バーネットがスペイン紙『AS』に語ったところによると、「彼も彼の家族もマドリードでの生活に満足している。真のプロフェッショナルであるし、練習にも真摯に取り組んでいる」と安易な移籍交渉に応じない姿勢を見せています。

 ここにきてレアルは苦渋の解決策を作成し、交渉をまとめようと動いています。移籍先には違約金を請求せずフリートランスファーで放出する。また移籍先でベイルが受け取る報酬の半額をレアルが負担するというのです。興味を示していると言われるトッテナム、マンチェスター・ユナイテッドにこの条件がどれほど響くのか、それとも新たなクラブが手を挙げるのか。プレミアリーグの新シーズンが開幕します。

文/西岡 明彦

※電子マガジンtheWORLD249号 9月15日配信の記事より転載

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